ビッグモーター 苦情相談が急増 消費者庁やっと公表 9割が売買トラブル

公開 : 2023.09.14 18:30

・消費者庁がやっと公表 ビッグモーターの苦情相談急増
・ビッグモーターが認めた3つ
・ただし9割は売買トラブル

ビッグモーターの苦情相談急増!

消費者庁は2023年9月5日に「ビッグモーターに関する消費生活相談の状況等について」というデータを公表した。

消費生活相談とはトラブル相談のことで、これはビッグモーターでトラブルに巻き込まれた人たちの苦情相談件数とその内訳などの数字である。

会見で辞任を発表した兼重宏行前社長(2023年7月25日)
会見で辞任を発表した兼重宏行前社長(2023年7月25日)

消費者庁では7月28日にも「ビッグモーターに関する消費生活相談件数について」というデータを公開しており、2013年度から2022年度まで毎年の相談件数は凄まじい勢いで増えている。

2013年度には260件だった相談件数は2017年度には780件、2019年には1048件、そして2022年度には1491件だ。

そして重要なことは中古車売買全体のビッグモーターの割合である。

2018年度

911/7228件 12.6%

2019年度

1048/7214件 14.5%

2020年度

1271/7104件 17.9%

2021年度

1431/7248件 19.7%

2022年度

1491/7202件 20.7%

全体の相談件数は7200件前後で大きな変化はないが、ビッグモーターの件数は年々増えており、2018年度は12.6%だったのが、2022年度にはなんと20.7%にまで急増している。

では、その相談とはどのような内容だったのだろうか? 2022年度の数字を記しておく。

四輪自動車の購入・売却等

1313件

四輪自動車の修理サービス

46件

四輪自動車の車検サービス

31件

その他

101件

として数字が公表されているが、2018年度~2022年度までいずれも「四輪自動車の購入・売却等」が約9割となっている。

ビッグモーターが認めている不正行為はまだ3つ

ここで、思い出して欲しいことがある。

そもそも昨今、明らかになっている数々の不正行為は「保険金水増し不正請求」が発覚したことに端を発している。

年度別相談件数
年度別相談件数

テレビや新聞、FRIDAYなどの週刊誌を除く一般メディアが盛んに報道するようになったのは今年7月半ば以降であるが、実際には2021年11月にビッグモーター社内において内部告発があり、それを受けて損保各社、ビッグモーター内部でも保険金不正請求に関する調査が始まっていた。

以降、保険会社がビッグモーターを紹介する「紹介制度(入庫誘導)」も止まったままである。(損保ジャパンだけが2022年7月に取引再開して非難をあび同9月には再び取引停止)

紹介制度(入庫誘導)

保険契約者が事故を起こして損保の事故受け付けセンターに電話。入庫する工場が決まってない契約者に対して積極的にビッグモーターの板金工場を紹介すること。ビッグモーターの工場を紹介する見返りに自賠責をその保険会社で切る(入庫誘導1件につき自賠責5件など)密約もあった。

2022年9月頃から東洋経済などの経済メディアやマガジンX、筆者が寄稿している自動車メディアで保険金不正請求について記事化が始まっており、2023年1月にはビッグモーターが外部の弁護士数名による特別調査委員会を設置して保険金不正請求についてしっかり調査をすると公式サイトにて約束。

その結果が今年6月末に兼重前社長に渡され、7月半ばにビッグモーター側は不正があったことを認めた。そこから一気に、それまでスポンサー忖度でだんまりを決めていたメディアが一気に取材合戦を始めたのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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