BMWの次世代モデル 外観よく似た6車種が登場 デザインに「強い重複」と責任者 キドニーグリルはどうなる?

公開 : 2023.09.14 06:45

・BMWは2025~2027年に全6車種の新型EVを投入。
・短期間に多数発売することからデザインの類似性が強くなる?
・新世代のデザインはどこへ向かっている?

デザインが類似する6車種の次世代EV

BMWグループのデザイン責任者であるエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏によると、2025年から2027年にかけて登場する6車種の次世代EVシリーズ「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」は、現行車種のラインナップよりもデザインの重複が多くなるという。

つまり、これからのEVは外観の類似性がより高まるというのだ。その先鋭的で新しいデザイン言語は、コンセプトカーの「ビジョン・ノイエ・クラッセ」によって予告されている。2025年にBMW 3シリーズの次世代モデルが登場する予定で、その後SUVのX3が加わり、2年の間にさらに4車種が追加される予定である。

BMWビジョン・ノイエ・クラッセ
BMWビジョン・ノイエ・クラッセ    BMW

BMWの現行車種はすべて、ブランドのトレードマークであるキドニーグリルを中心とする、明確なデザイン・アイデンティティを備えている。この流れはノイエ・クラッセの6車種にも受け継がれるのかと記者が尋ねると、ファン・ホーイドンク氏は「それはわたし達が守ろうとする哲学です」と答えた。

しかし、彼はこうも付け加えた。「これほど短期間に連続して登場するのですから、強い重複(オーバーラップ)が見られると思います。おそらく、当社が以前行っていたように10年で全車種を世代交代させるよりも強いでしょう」

「以前は10年サイクルで、7シリーズから始まって徐々にトリクルダウンしていき、最初のモデルから10年後に最後のモデルが登場することが多かった。今は比較的短期間で変化が訪れるので、一気にページをめくるような感覚になるでしょう」

「2年というのはそれほど長い期間ではないので、(6車種が)一緒に成長したように見えるかもしれませんが、それでも個々のキャラクターは認識できると思います」

ファン・ホーイドンク氏は、6車種のEVがリリースされる順序は「主に製品ライフサイクル」によって決定されるが、「変化や技術的なアップデートに対する需要が最も強いと感じるところ」によっても決定されると示唆している。

ビジョン・ノイエ・クラッセ・コンセプト

BMWは2023年末までに各主要市場セグメントでEVを投入し、2025年までに世界販売台数の4分の1以上、その翌年には3分の1をEVとすることを目指している。ビジョン・ノイエ・クラッセは、そうしたBMWのデザインの方向性と先進的なドライブトレインの導入を予告するものである。

「ノイエ・クラッセ」とはドイツ語で「新しいクラス」という意味があり、遡ること1960年代の高級モデルに与えられた名称である。

BMWビジョン・ノイエ・クラッセ
BMWビジョン・ノイエ・クラッセ    AUTOCAR

前述の通り、2年の間に6車種の新型EVを発売する予定だが、すべてが同じプラットフォームをベースとするわけではなく、ターゲットとするユーザー層やセグメントによって使い分けるという。プラットフォームの詳細はまだ明らかにされていないが、研究開発部門の責任者であるフランク・ウェーバー氏は、現行車と比較して「航続距離30%アップ、充電速度30%アップ、効率25%アップ」を謳っている。

ノイエ・クラッセの第1弾は、現行の3シリーズに相当するセダンとなる。BMWのオリバー・ジプセCEOは、ビジョン・ノイエ・クラッセは市販車を直接予告するものではないと述べているが、開発に大きな影響を与えていることは間違いない。

BMWはビジョン・ノイエ・クラッセのデザインについて「クリア、エレガント、タイムレス」と表現している。横方向に広がったキドニーグリル、スリムなLEDライト、拡大されたサイドウィンドウ、現行車よりも「サーフェスとディテールがはるかにクリーン」とされる「モノリシック」なシルエットが特徴である。

ライトの使い方も変わりそうだ。単なる照明器具ではなく、いわばユーザー体験の一部として機能することを目指しており、例えばクルマに近づくとヘッドライトにアニメーションが表示される。これについてデザイン担当者のドマゴイ・ドゥケック氏は「近年、ライトはわたし達のアイデンティティを強化するのに役立っています」と説明する。BMWも「クロームをライトに置き換えたい」としている。

注目すべきは、BMWの世界販売においてSUVが大きな割合を占める中で、今回あえてセダンスタイルを選んだことである。ドゥケック氏は、これは「フラットで車高の低いクルマ、特にセダンにはまだ未来がある」と考えているからだと言う。1960年代のノイエ・クラッセとの関連性も強い。「(オリジナルの)ノイエ・クラッセのあのシルエットには理由がありました。ファストバックは速く見えるからです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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