アバルト500/695ツーリズモ

公開 : 2014.01.30 17:27  更新 : 2017.05.29 18:23

年初に導入された500のアバルト版の全3モデルを試乗した。走ったのは富士スピードウェイのショートコース。アバルト500にふさわしい場所といえる。

まずは3モデルの内容から。エンジンはIHI製可変ジオメトリーターボで過給するお馴染みの1.4ℓ直4で、135psを発揮する。ただし、これまで別途装着という形だったエッセエッセ・キットを初めから装着した160psのモデルが追加され、これらは500でなく、故事にちなんで595を名乗る。同キットにはシャシー強化も盛り込まれていて、595は硬めたダンパーとばね、そして205/40R17タイヤ(基準車500は195/45R16)や格上げされたブレーキが装着される。日本仕様として選ばれたトランスミッションは、500のほうが3ペダルの5段M/Tで、595は2ペダルの5段自動M/Tだ。ちなみに、595には内外装の仕様が異なるツーリズモとコンペティツィオーネの2種が用意されている。

さて、その3モデルが、どんな違いを見せたかが本稿の主題となるわけだが、なにしろ公道でなくサーキットを15分ずつという試乗メニューだったので、勢い話が限界的な状況のことになってしまう。

エンジンに関しては、135psの500と、160psの595との違いよりも、それぞれに備わったスポーツモードと標準状態との違いのほうが際立った。スポーツモードに入れると、単に馬力が増すだけでなく、コーナー立ち上がりでアクセルを開けたときのトルクのツキがまったく違う。トップエンドまで踏み切ったときにブーストを使い切ってダレる感じもない。というより早めにブーストを逃がしてトルクの山の部分を意図的に削っている標準状態のほうが、よっぽどフン詰まる感じを受けてしまう。また3000rpm以下に下げることもないこういう場所だからということもあるのだろうが、ターボラグも目立たない。フィアット500でなくわざわざアバルトを買うのだから常時スポーツモードで走りたくなる。そういう違いである。

500と595の違いのほうに関して、結果だけを述べれば、後者は短いホームストレートで楽に4速に入れられたが、前者はストレートエンドで3速を使い切って4速に入れようかどうか悩やむといった違いが出たのだが、それは25psの差というよりもアシの周りの差によるものが大きかった。ロール量が規制される595のほうが立ち上がりで踏んでいけるのだ。また、スポーツモードで電動パワステが重くなるのも一助になった。クルマという機械を物理的にだけ見れば、操舵力の差で限界の高低が変わるわけはないのだけれど、それなりのGが掛っている状態では、ステアリングが軽すぎると正確にそれを動かす作業がしにくくなるのだ。

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