現代版GTIといえるフィーリング クプラ・ボーン 手頃で楽しいEVのベストは?(4)

公開 : 2023.09.28 19:05

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ID.3にはないちょっとした刺激 クプラボーン(228点)

今回の6台のノミネート車両で、最高得点を得たのがクプラ・ボーン。日本では馴染みの薄い自動車メーカーといえるが、フォルクスワーゲン・グループの廉価ブランドで、このボーンはID.3と多くのコンポーネントを共有する。

MEBプラットフォームも、駆動用モーターとバッテリーも、基本的には同じものが積まれている。ボディシェル自体も共有する。しかし、ID.3には備わらないものがボーンにはある。ちょっとした刺激だ。

クプラ・ボーン 58KWH V2(英国仕様)
クプラ・ボーン 58KWH V2(英国仕様)

MEBプラットフォームは、シャシー中央のフロア部分に駆動用バッテリーを敷き詰め、前後に駆動用モーターを搭載できる、スケートボード構造を取る。ボディサイズは一般道に適しており、50:50の前後重量配分を取りやすい。能力は決して低くない。

それをベースに、クプラはスプリングとダンパー、アンチロールバーを改良することで、サスペンションを引き締めた。スポーツシートを2脚載せ、スタビリティ・コントロールに手を加え、ステアリングホイールへ伝わるフィードバックを増やした。

プラットフォームとドライブトレインの可能性を、しっかり解き放つことを可能とした。引き締められた足回りは、不快なほど硬くなったわけではない。アバルト500eが跳ね、キア・ニロEVが揺さぶられるような路面を、しなやかにこなす。

本来秘めていた能力が引き出された

制御が緩められたスタビリティ・コントロールのおかげで、パワーオンでの操縦性も高められている。審査員の6名全員が、本来秘めていた能力が引き出されたと評価した。

重心位置は低く、駆動輪はリア。軽いフロントアクスルに長いホイールベースが組み合わされ、機敏でありながら懐の深い特性を創出している。ステアリングは正確に反応し、1736kgある車重を感じさせない。

手前からダークブルーのクプラ・ボーン 58KWH V2と、イエローのアバルト500e ツーリスモ、グリーンのMGモーター MG4 Xパワー
手前からダークブルーのクプラ・ボーン 58KWH V2と、イエローのアバルト500e ツーリスモ、グリーンのMGモーター MG4 Xパワー

スタイリングにも、僅かな刺激が追加されている。モノフォルムでスポーティな容姿とはいえないが、ゴルフと同等サイズでありながら、車内空間は大型サルーン並みに広いことも強みだろう。

航続距離は421kmあり、家族での週末旅行にも不足はない。急速充電能力は125kWと速く、短時間でエネルギーを回復できる。今回の試乗では高速道路を長時間走り、連続するカーブを積極的に駆け抜けたが、平均の電費は5.8km/kWhと優秀だった。

ただし、300点満点中228点に留まり、完璧だったわけではない。スタビリティ・コントロールは、スポーツ・モードでも過剰に制限をかける。興奮を誘う走りの一歩手前で、パワーが絞られてしまう。シャシーバランスの良さを考えれば、もっと開放的でいい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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