英国の充電事情 EVを「満タン」にするといくらかかる? 集合住宅でも充電できるのか

公開 : 2023.11.04 18:25

・EV(電気自動車)の普及が進む英国の「充電事情」を紹介。
・ガソリン車よりお得? 電力会社の料金プラン、家庭用充電器の設置費用は。
・集合住宅や高速道路でも充電できるのか。

EV普及が進む英国 充電事情を紹介

EV(電気自動車)の購入を考えるとき、頭に浮かぶことの1つは「充電にいくらかかるか」ということだろう。一般的に、EVの車両価格は同クラスのエンジン車よりも高い。その価格差を埋めることはできるのだろうか。

今回は、EVの普及が進んでいる英国の充電事情を取り上げたい。家庭での充電、公共施設での充電、そして時間帯による料金の違いなどを紹介する。結論から言うと、英国ではエネルギー価格が大きく変動しているが、うまく工夫すればガソリン代を払うよりも安く充電することができる。

英国の電力会社の料金プランや充電器の設置費用について紹介したい。
英国の電力会社の料金プランや充電器の設置費用について紹介したい。    AUTOCAR

特に、電気代が最も安くなる夜間に自宅で充電できると有利だ。しかし、公共の充電施設に頼っていると、EVとエンジン車のランニングコストの差は縮まってしまう。その理由の1つが「税金」の違いだ。

例えば、英国の一般家庭用の電気料金にはVAT(付加価値税、日本の消費税のようなもの)が5%かかるのに対し、公共充電器では20%かかることになる。実際、公共充電器を使って充電すると、同クラスのガソリン車を満タンにするのとほぼ同じコストがかかってしまう。

もちろん、もっと安い公共充電器もあるが、充電速度がそれほど速くはないし、便利な場所にあるわけでもない。

自宅で充電するといくらかかる?

英国のEVオーナーの大半は、自宅で充電している。その方が安いだけでなく、バッテリーがフル充電の状態で朝を迎えるので、とても便利だからだ。もちろん、クルマの車種や電力会社の料金プランにもよるが、最近の電気料金の高騰を考慮しても、従来のガソリン車やディーゼル車と比べてお金を節約することができる、というのがAUTOCAR英国編集部の意見だ。

例えば、バッテリー容量64.8kWh、航続距離約460kmを謳うキア・ニロEVを充電する場合、現在の平均電気料金である1kWhあたり27ペンス(約49円)で計算すると、フル充電にかかるコストは約18ポンド(約3300円)となる。

英国のEVオーナーの多くは自宅で充電している。料金プランはさまざまだ。
英国のEVオーナーの多くは自宅で充電している。料金プランはさまざまだ。    AUTOCAR

一部の電力会社やプロバイダーは、EVオーナー向けに特別料金プランを用意し、夜間充電の料金をさらに安くしている。例えば、オクトパス(Octopus)社のあるプランでは、1晩あたり最低6時間、1kWhあたり7.5ペンス(約13.8円)で電力を利用できる。出力7kWの充電器があれば、わずか3.15ポンド(約580円)でニロEVをほぼ3分の2まで充電できることになる。仮にこの料金だけで64.8kWhのバッテリーをフル充電できたとすると、そのコストはわずか4.80ポンド(約880円)で、一般世帯のエネルギー価格上限の5分の1になる。

加えて、自宅にソーラーパネルがある場合、充電器によっては「無料」で得た電気をEVに供給でき、さらにコストを抑えられる(ソーラーパネルの設置費用は別として)。また、EVに蓄えた余剰電力を電力会社に「売電」するという双方向充電の試験も行われている。

カンパニーカー(社用車)として勤務先の会社から支給されたEVを自宅で充電する場合、電力がどのように使用されたかを証明しなければならない。そうした面倒事はあるが、EVで出張した場合、走行距離1マイル(約1.6km)あたり9ペンス(約16.5円)を請求することができる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

関連テーマ

おすすめ記事