開発は多国籍 残る中国感 ジーカーX RWDへ試乗 一般ユーザーなら不満は抱かない?

公開 : 2023.11.04 19:05

ジーリー・ホールディングス傘下のジーカー ボルボC40と同等サイズの電動クロスオーバー 荒削り感は残るものの価格価値は高い 英国編集部が評価

スタイリングはドイツ人 設計拠点はスウェーデン

初めて耳にされる方も多いであろう、自動車メーカーのジーカー。中国へ拠点を置く、新興のバッテリーEVブランドだ。しかし、スタイリングを手掛けたのはドイツ人で、設計拠点はスウェーデン。シャシーチューニングは、欧州で煮詰められたという。

この例に限らず、自動車メーカーは無国籍化が進んでいる。実際、ジープは北米のブランドではあるものの、アベンジャーは欧州で開発・生産されていたりする。

ジーカーX ロングレンジRWD(欧州仕様)
ジーカーX ロングレンジRWD(欧州仕様)

それでも中国メーカーの場合、好印象なモデルであっても、ある種の未完成感が残っていることが通例だった。ここに、ブランドや拠点市場の経験値が表れていたといえる。果たして、新しいXの仕上がりはいかがだろうか。

このXは、写真の通りコンパクトなクロスオーバー。全長4432mm、全幅1836mm、全高1566mmで、フォルクスワーゲンID.4よりひと回り小さく、ボルボC40とほぼ同じ。

電動パワートレインは2種類から選べ、シングルモーターは272psの後輪駆動。ツインモーターは、428psの四輪駆動となる。駆動用バッテリーの容量は69kWhだ。

スウェーデンとオランダ(ネザーランド)から販売が順次始まり、時期は未定だが英国へも上陸することは間違いないようだ。価格も明らかになっていないが、換算すると3万9000ポンド(約706万円)ほどになる。

まとまりの良いスタイリング 高級感のある車内

基礎骨格となるプラットフォームは、親会社のジーリー・ホールディングスによるSEA EV。最近発表された、ひと回りサイズの小さい新型ボルボEX30も利用している。

AUTOCARでは、EX30への試乗も近日に予定している。ブランドによる違いがどの程度与えられているのか、非常に興味深い。

ジーカーX ロングレンジRWD(欧州仕様)
ジーカーX ロングレンジRWD(欧州仕様)

スタイリングは、新興ブランドのモデルとしてはまとまりが良い。BYDアット3より、洗練された印象を受ける。充分な個性があり、すぐに古びて感じることはないだろう。

ボリューミーなボディだが、適度な引き締まり感がある。ジーリー・ホールディングス傘下のブランドの1つ、リンク&コーとの繋がりも観察できる。

内装には合成皮革がふんだんに用いられ、高級感を演出している。硬質なプラスティックが露出しているより、雰囲気は良いだろう。この辺りは、BYDの処理にも近い。加飾的で、新鮮味が薄れるのはスタイリングより早いかもしれない。

ダッシュボードのアンビエントライトや、カップホルダーとシャッターの付いたセンターコンソールの処理など、独自性も意識されている。実際に押せるハードスイッチは殆どなく、14.6インチのタッチモニターが主なインターフェースになる。

リアシート側の空間は、中国のモデルとしてはゆとりがある。荷室容量は362Lと、クラスとしては充分。装備は充実しており、高効率なヒートポンプ式エアコンも標準で付いてくる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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