ルノー新型EV導入か 「電動版」ルーテシア登場? ハイブリッド版と2026年頃発売の可能性

公開 : 2024.04.03 06:05

ルノー・ルーテシアにバッテリーEV版が導入される可能性がある。2026年頃のフルモデルチェンジ時にハイブリッド版とともに発売され、5 Eテックの兄弟車となる見込みだ。

次期型クリオでEV版も導入か

フランスに自動車メーカーであるルノーは、小型ハッチバック「クリオ(日本名:ルーテシア)」のバッテリーEV版の導入を計画している。新型5 Eテックの上位に位置するファミリー向けのEVにするようだ。

ルノーは2026年頃にクリオのフルモデルチェンジを実施し、第6世代となる次期型を投入する見込みである。ガソリンエンジンベースのハイブリッド車は引き続き設定されるが、新たにEVも導入される。

次期型クリオ(ルーテシア)にバッテリーEV版が導入される可能性がある。
次期型クリオ(ルーテシア)にバッテリーEV版が導入される可能性がある。

次期型のEV版クリオは、5 Eテックと同じ「アンペア・スモール」プラットフォームを採用する。一方、ハイブリッド版は現行世代の「CMF-B」を引き続き使用する。

つまり、同じクリオという名称を受け継ぎながら、基本構造とパワートレインは異なるものとなる。ただし、アンペア・スモールとCMF-Bの関連性は非常に高く、サスペンション構造や寸法、取り付けポイントなど主要部品の60%を共通化している。

したがって、EV版とハイブリッド版は基本的に同一と言える。ボディや内装もほぼ同じものを採用できるだろう。

新型5 Eテックとは「兄弟車」に?

次期型クリオの外観は、現行車とはかなり異なるデザインとなる。これまでの取材から、メガーヌEテックやセニックといった現行EVの影響を受けつつ、オーストラルやラファールなどのSUV要素も採り入れると予想されている。

全長は5 Eテックより20mmほど長く、現行クリオ(全長4053mm)とほぼ同じになる。外見上のサイズの違いは目立たないが、荷物積載量と後席レッグルームの改善が可能になるはずだ。

新型5 Eテックに採用された「アンペア・スモール」プラットフォーム
新型5 Eテックに採用された「アンペア・スモール」プラットフォーム    ルノー

情報筋によれば、EV版のクリオと5 Eテックと一緒に販売することは、消費者に選択肢を提供することが目的であるという。

いずれにせよ、ルノーは新型5 Eテックをクリオの後継車とは考えていない。実際、製品パフォーマンス責任者であるブルーノ・ヴァネル氏は以前、本誌の取材で「クリオはそれ自体が1つのブランドである」と語り、消費者に親しみある名称を存続することの重要性を示唆している。

ルノーの「マルチエネルギー」戦略

ルノーは小型EVのコスト削減に相当なパワーを注いでおり、EV版クリオの価格は、2万5000ユーロ(約410万円)を予定している5 Eテックよりわずかに高い程度と予想される。3万ユーロ以下であれば、上位のメガーヌEテックとの差別化も図りやすいだろう。

しかし、ルノーは必ずしもEV版クリオの導入を急いでいるわけではない。理論的には、2026年発売のハイブリッド版で、2035年の “エンジン車禁止” まで持ちこたえることができるからだ。

ルノー・クリオ(英国仕様)
ルノー・クリオ(英国仕様)

ルノーのエンジニアリング責任者であるジル・ルボルニュ氏は、EV版クリオは当面の優先事項ではないとしつつ、同じプラットフォーム上で「マルチエネルギー」パワートレインを用意することが重要だと語った。

ルボルニュ氏は旧PSAグループに30年間在籍し、プジョーシトロエン、DS、オペルの電動パワートレインの開発を監督してきた。そんな彼は、マルチエネルギーについて「宗教のようなもの」であり、「いつもマルチエネルギーをめぐって戦ってきた」と言う。

「わたしはとても現実的です。マルチエネルギーを使えるときは使います」

記事に関わった人々

  • フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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