筆者も選んだ「非ハイブリッド」の1.0L ルノー・クリオ(ルーテシア) TCe 90へ試乗

公開 : 2024.01.26 19:05  更新 : 2024.02.28 07:55

クラスをリードする仕上がりの、フランス生まれのルーテシア 乗り心地も1.0Lエンジンも素晴らしい フェイスリフト後のベーシックな仕様を英国編集部が評価

筆者も買ったクラストップのクリオ

今回の試乗レポートは、ちょっと複雑な気持ちでキーボードを叩いた。実は、筆者が所有するクルマ、そのものだからだ。別のモデルのコンテンツを書いたお金で、ブルーのルノー・クリオ(ルーテシア)を購入したわけ。もちろん、公平な評価を与えたつもりだ。

現在のクリオは5代目だが、2023年にフェイスリフト。英国仕様はすべてハイブリッド化され、内燃エンジンから電気モーターへ乗り換える、魅力的なステップを作ったといえた。

ルノー・クリオ(ルーテシア) TCe 90 エボリューション(英国仕様)
ルノー・クリオ(ルーテシア) TCe 90 エボリューション(英国仕様)

しかしその後、英国における内燃エンジンの新車販売は、2035年まで認められることになった。これを受けて、物価上昇が続く中で、ルノーはお手頃なエンジンモデルの需要が継続して高いだろうと判断した。

フォードフィエスタの生産終了を横目に、シンプルな1.0L 3気筒エンジン版が導入された。英国価格は、ハイブリッドのE-テックより約3500ポンド(約65万円)も安い。この情報をAUTOCARのニュースで知った筆者は、すぐにディーラーへ電話をかけた。

試乗もせずにオーダーしたのだが、不安はなかった。フェイスリフト前でも、クリオはクラストップの評価を得ていたから。果たして、2024年の初めに納車された。

なぜ広報車ではないのかというと、まだ英国ルノーには用意されていないため。先行して注文した顧客を優先に、クルマが届けられているそうだ。というわけで、他に先駆けて英国仕様の印象をお伝えできることになった。

乗り心地も1.0Lエンジンも素晴らしい

自分で選んだピカピカの新車だから、満点を与えたくなるのが人情だろう。弱点へ目を向けるのは難しい。

とはいえ、ひいき目抜きに、1.0Lエンジンのクリオは熟成されたドライビング体験を叶えている。コンパクト・ハッチバックのクラストップとして、ふんだんな喜びと楽しさを与えてくれる。

ルノー・クリオ(ルーテシア) TCe 90 エボリューション(英国仕様)
ルノー・クリオ(ルーテシア) TCe 90 エボリューション(英国仕様)

特に素晴らしいのが乗り心地。速度域を問わず、驚くほど滑らかに衝撃が吸収される。筆者が過去に所有していた、フォード・フィエスタも乗り心地は褒められたものの、もう少し硬めに仕立てられていた。

操縦性はフィエスタの方がシャープだが、クリオが劣るわけではない。ステアリングの印象は、クラス上のフォルクスワーゲン・ゴルフのよう。日常的な速度域でも反応を予想しやすく、適度な一体感を生んでいる。

ペースを速めても、フィエスタのように活き活きとした印象は高まらない。それでも、長距離走行を淡々とこなすような場面では、より快適に過ごせる。

1.0Lエンジンも素晴らしい。低回転域から豊かなトルクが生み出され、市街地を軽快に走り回れる。高速道路の速度域でも、3気筒エンジンの洗練された質感へ驚く。フィーリングの個性としては、多少フィエスタの方が上だとはいえ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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