スズキ・スイフト ルノー・ルーテシア やっぱり小さなハッチバックは魅力的! 日仏2台比較(1)

公開 : 2024.05.25 09:45

クロスオーバー全盛期に、世代交代された期待のスズキ・スイフト クラストップの実力を備えるルノー・ルーテシア 小さなハッチバックの普遍的な魅力 英編集部が2台を比較試乗

小さなハッチバックの普遍的な魅力

欧州では、コンパクト・ハッチバックの人気はすっかり下火。どのクラスを見ても、注目を集めているのは背の高いSUVやクロスオーバーだ。2024年の英国の新車販売数を確かめると、トップ10は軒並みそんなモデルが占めている。

確かに、魅力は理解できる。実用性はそのままに、運転席からの視点は高く、市街地での安心感は高い。メーカーとしても、悪くない収益を得られるから推したくなる。

ブルーのスズキ・スイフト 1.2マイルド・ハイブリッド・ウルトラと、オレンジのノー・クリオ(ルーテシア) TCe 90 エボリューション
ブルーのスズキスイフト 1.2マイルド・ハイブリッド・ウルトラと、オレンジのノー・クリオ(ルーテシア) TCe 90 エボリューション

同時に、電動化に向けたシフトは本格化。バッテリーEVは技術的に高コストになりがちで、お手頃な価格帯での提供はまだ難しい。

こんな変化を受け、英国のクルマ好きにとって衝撃的なニュースになったのが、フォードフィエスタの生産終了だ。日本にも、ファンはいらっしゃったはず。魅力的なハッチバックの1台が、市場から姿を消してしまった。

日産も、マイクラ(マーチ)の提供を欧州でも終了。キアもリオを諦めた。小さなハッチバックは、過去のジャンルのクルマになってしまうのだろうか。

ただし、まだ完全に選択肢が消えたわけではない。トヨタマツダオペルフォルクスワーゲンなどが、競争力の高いモデルを提供してくれている。

結局のところ、お財布に優しいお値段と、普段使いに丁度いい大きさや実用性、運転のしやすさなど、普遍的な魅力は揺るがない。その事実を知っている幅広い世代から、依然として根強い支持を得ていることも間違いない。

先代以上の販売が見込まれるスイフト

この流れを好機として捉えているのが、スズキ。モデルチェンジしたスイフトは、欧州では先代以上の販売数になると見込まれている。誰しもが、クロスオーバーを欲しているわけではない。

生産が終了したモデルの既存ユーザーで、数年後の買い替えでも同等のハッチバックにしたいと考えている人が、英国だけで25万人もいるとスズキは算出。スイフトが、その一部を受け止める可能性は高いと予想しているようだ。

スズキ・スイフト 1.2マイルド・ハイブリッド・ウルトラ(英国仕様)
スズキ・スイフト 1.2マイルド・ハイブリッド・ウルトラ(英国仕様)

かくして、新世代となったスイフトだが、完全な新設計というわけではない。小型車の収益性は低く、変化の激しい現状にあっては、既存技術や構造の活用なしでは生き残りが難しいためだ。

スイフトが基礎骨格とするのは、先代と同じハーテクト・プラットフォームの改良版。それでもスタイリングは新しく、インテリアやパワートレインはアップデート。安全運転支援システムも、最新版を得ている。

選択肢が減ったといっても、まだライバルは多い。しかも、いずれも実力者だ。その中で、AUTOCAR英国編集部がクラストップだと評価しているのが、ルノー・クリオ(ルーテシア)。スイフトは、善戦することができるだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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