■「買い」か?

今までT4がベーシックだったのがT3に代わって大丈夫か?と思ってたのだが、乗ってみれば杞憂だった。重質な味わいこそ多少低下しているものの、穏やかで力感溢れるパワー・フィールはプレミアム・セダンに適し、軽快感がT4とは違った魅力をT3に与えている。

ミリ波レーダー、赤外線レーザーセンサー、カメラなどを組み合わせて全方位の衝突回避や運転支援を行う10種類の装備を組み合わせたインテリセーフ10は同クラスでも未だトップレベルにあり、ナビ等の情報機能も充実。4.7mを下回る全長ながら男性の4名乗車でもくつろい長時間過ごせるキャビン・スペースも備わっている。Dセグメントのプレミアム・セダンとして死角はない。

気になるのは価格設定だ。これだけの装備を備えて434万円が欧州車としてはコスパに優れているのだが、ディーゼルの同等グレードとなるD4 SEとの価格差は25万円でしかない。燃費と動力性能で考えればディーゼルを選択すべきかもしれない。

そこでT3の存在感を強めるのが軽快なドライブ・フィールである。一昔前とは違うと言ってもやはりディーゼルには特有のエンジン・フィールがあり、ドライブ-Eの中でも軽快感が持ち味のT3とは対照的。若々しくカジュアル、あるいは街中も長距離も気軽に乗り出せる走行感覚と言ってもいいが、上着を羽織るようにフットワーク軽くクルマを使いたいと考えるドライバーには同クラスのプレミアムセダンでも相性のいいモデルである。

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ボルボS60 T3 SE