最高にホットなBセグ・ハッチバックを探す 後編 回顧録

公開 : 2018.09.24 16:10

公道での対決の後は、ミルブルックへと場所を移し、サーキットでの走りを試してみることになりました。公道での評価が低かった順にお伝えします。公道で最強であったルーテシアはサーキットでも非常に高評価を獲得する結果となりました。

AUTOCAR JAPAN誌 76号

もくじ

ルノースポール・トゥインゴ133カップ
スズキ・スイフトスポーツ
フォード・フィエスタ1.6ゼテックS
アバルト500エッセエッセ
フォード・フィエスタ・マウンチューン140
ルノースポール・ルーテシア200カップ

ルノースポール・トゥインゴ133カップ

レーシングデカールで飾られ、ロープロファイルの17インチ・タイヤを履くポケットレーサーのようなプロポーションをしたこのトゥインゴを見れば、誰でも乗り込んで思うがままに全開で走り出したくなる衝動を抑えられないだろう。そして実際に、その扱い方を知っていれば、この小さなルノーは間違いなくそれに応えてくれる。

限界すれすれでダンスを踊るような走りを求められては無理というものだが、ハンドリングは切れがよく、ステアリングは本当に正確だ。背の高いボディながら横方向の制御は良好であり、しかもサスペンションはノーマルよりはるかにシャープで、それでいながら決してゴーカートのような乗り味には陥っていない。

このクルマを最大に楽しむコツは、そのいかにも勇ましいルックスの80%くらいのペースを心掛けることだ。そうすれば、思わず笑みが浮かんでしまうほど楽しめる。本気でそのルックスどおりに、公道でははばかられるくらいのハードさで攻め込んでしまうのは禁物だ。期待に応えてくれずに落胆するばかりか、下手をするとその後走り続けられなくなってしまう危険さえある。

基本的なハンドリングバランスは限界域でも問題はない。この点では非常に優れている。期待値におよばないのはブレーキ、もっと具体的にいうならABSだ。理由はいろいろあるのだろうが、とにかくあまりにも敏感すぎるのだ。

サーキットを2〜3ラップもすれば、トゥインゴの実力を最高に引き出すためには、ブレーキペダルをできるだけ軽く、そして早めに踏まねばならないことに気づくだろう。しかし、それを忠実に実行したところで内蔵されたセーフティシステムが、それ抜きなら実力の許す限りハードに走れるはずのところで抑止してしまう。

まるで魔法のように、クルマが自らの意志でそうしているかのごとくフルブレーキがかかり、さらに場合によっては同時にスロットルの制御権までもが奪われ一瞬にしてオフにされてしまうのだ。トゥインゴは小さいながらも実に素晴らしいハンドリングを備えているだけに、こうした電子制御の介入さえなければと惜しまれてならない。カップと名付けられてはいるが、このクルマにはサーキットよりもカントリーロードのほうがよく似合っている。

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