進化の名に偽りなし ランボルギーニ・ウラカン・エボに試乗 自然吸気V10 640ps

公開 : 2019.09.05 09:50  更新 : 2019.09.05 19:23

新しい頭脳の獲得により、ダイナミクス性能に磨きがかかり、自然吸気V型10気筒エンジンの獰猛性にも拍車の掛かったウラカン・エボ。絶命危惧種でもあるNA V10を味わえる、最後のランボルギーニとなる可能性も、その魅力を一層引き立てています。

ウラカンの本物のエボリューション

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

5万とあるクルマのモデル名の中でも、ウラカン「エボ」という命名にはとても納得ができる。ランボルギーニがスーパーカーJr.へ与えた進化の中身は非常に幅広く、単なるフェイスリフトという範囲を超えているように思う。ウラカンへと与えられた、本物のエボリューションだといっていい。

進化前のウラカンも間違いなく素晴らしいスーパーカーだった。だがその魅力は自然吸気のV型10気筒エンジンという個性と激しさが中心的で、サーキットでも一般道でも、バレエダンサーのような柔軟性に富んだ軽やかな身のこなし、という側面での感動は薄かった。

ランボルギーニ・ウラカン・エボ
ランボルギーニ・ウラカン・エボ

今回施されたエボリューションによりその身体能力は高められ、ウラカン自体の水準が、素晴らしく直感的で能力を引き出されたウラカン・ペルフォマンテへとぐっと近づいた印象だ。その進化の出発点が、サーキット走行にも焦点が向けられた、エンジンの軽量化からということも期待どおり。

ペルフォマンテと同様に、ウラカン・エボに搭載されるのは5.2Lの自然吸気V型10気筒エンジンだが、そこにチタン製吸気バルブと新しい軽量なエグゾーストシステムを導入。最高出力は640ps/8000rpm、最大トルクは61.1kg-m/6500rpmをマークする。エンジン制御プログラムも書き換えられ、0-100km/h加速は2.9秒で、最高速度は王代を軽く超える325km/hに届く。

クルマ全体を司る新しい頭脳「LDVI」

加えて後輪操舵とトルクベクタリング、マグネティック・ダンパー、ダイナミック・ステアリング、トラクションコントロール・システムも大幅に刷新されている。エクステリアデザインにも手直しが入り、よりアグレッシブな佇まいになっただけでなく、空力的にも効率が向上している。

これらのふんだんなアップデードの中にあって、最も重要な進化といえるのが、クルマ全体を司る新しい頭脳の採用。ランボルギーニ・ダイナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ(LDVI)と呼ばれるコンピュータで、先出のクルマの様々なシステムから伝送される膨大な情報を統合的に判断し、瞬時に処理し、必要な制御をリアルタイムに導き出す。

ランボルギーニ・ウラカン・エボ
ランボルギーニ・ウラカン・エボ

理屈的には、その瞬間瞬間の状況や環境の変化に対応することが可能で、ウラカン・エボは常に最適なクルマとして調整されることになる。加えてドライバーの操作やタイヤが接する路面状態から、次に取るべき処理内容を予測することも可能だという。

映画マトリックスの主人公、ネオは、頭脳へと直接コネクトし、トレーニングプログラムをアップロードすることで戦闘能力を高めていたが、「LDVI」も同様にウラカンの身体をより強靭で俊敏で柔軟性のあるクルマへとアップデートした印象だ。前回バーレーンのサーキットで試乗した際は、その片鱗をかすめ見た程度だったが、シャープでクイックで、喜びに満ち溢れたクルマであることは感じ取ることができた。今度は英国の、バリエーションに富んだ道路網に向き合う時となる。

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