440psの最速マカン ポルシェ・マカン・ターボに試乗 真骨頂の操縦性

公開 : 2019.11.12 09:50

SUV随一の操縦性の良さを備える、ポルシェ・マカンの中でフラッグシップの「ターボ」。価格もだいぶ上乗せとなりますが、それに見合う内容を獲得しているのかどうか、ドイツ・シュツットガルトで評価しました。

新しい2.9Lツインターボエンジンを搭載

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
一部にとっては待望のトップグレードとなるマカン、ターボに試乗する機会がやってきた。最新のポルシェ製EV、タイカンの場合、ターボはパフォーマンス・レベルを示す意味付けだったが、マカンの場合はちゃんとターボエンジンが搭載されている。

ショールームで人気モデルとなっているマカンだが、欧州で強化される環境規制に合わせることは、シュツットガルトの敏腕エンジニアでも一筋縄では行かなかったのだろう。マカンがマイナーチェンジを受けてから1年近く経過し、ようやくターボが登場した。

ポルシェ・マカン・ターボ
ポルシェ・マカン・ターボ

世界でも名だたる高速モデルを生み出してきた、長い伝統を持つポルシェ。コンパクトSUVのターボを待つ価値はあったのか、気になるところだ。

ポルシェは、マカン・ターボのアップグレードに関して、他のグレードよりも少し進んだ内容を与えている。エンジンはマイナーチェンジ前の3.6L V6エンジンから、軽量で強力な2.9Lエンジンへと置き換えられた。

V型に並ぶシリンダーのバンク部分に配されたツインターボにより、440psと56.0kg-mを発生する。レスポンスに優れたレイアウトで、3.6Lユニットより40psほどの増強。最大トルクは1800rpmから湧き出す。

エンジンヘッドと一体になったエグゾーストマニホールドにより、軽量化するとともにターボブーストの立ち上がりも速い。新しいダイナミックエンジンマウントを採用し、コーナリング中のエンジンの動きを抑制。クルマの機敏性と、ステアリングの正確性を高めている。

タングステンカーバイド・ブレーキが標準

それ以外の変更はやや控えめ。標準のマカンよりリアトレッドは3ミリ広げられ、アンチロールバーが専用のものに。フロントハブにサスペンション・スプリングとダンパーを支持させる、新しいアルミ製サスフォークが採用された。

テスト車両は、足周りに付けられるほぼすべてのオプションを装備。改良を受けた車高調整式のエアサスペンションに、ポルシェ・トルクベクタリング(PTV)アクティブ・リアディファレンシャルなどが走りを支える。

ポルシェ・マカン・ターボ
ポルシェ・マカン・ターボ

すべてのマカン・ターボには、タングステンカーバイド・コーティングされたスチール製ブレーキディスク(PSCB)が標準装備となる。通常のブレーキと、高価なカーボンセラミック・ブレーキとの中間に位置するアイテムだ。オプションを含めたテスト車両の価格は10万ポンド(1390万円)を超えていた。

先代からボディパネルが変更されているが、特徴としては12mm短いオーバーハングを作り出すためにフロントノーズが専用デザインとなっていること。テールゲートの上部には2重のスポイラーが追加されている。人気を高めるのに一役買うに違いない。

マカン・ターボの車内の雰囲気は、既に馴染みのあるもの。標準のマカンより大きな10.9インチのインフォテイメント・システム用モニターと、インテリア素材が新しく設定されているが、それ以外のインテリアはほぼ同じといって良い。

幅広いシート調整しろが確保され、SUVとしてはかなり低い着座位置にすることも可能。3スポークのステアリングホイールは、ポルシェ911に装備されているものと同じ。モニターで行うエアコンのコントロールには、少し古さを感じるかもしれない。

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