荷室の広さはQ3と同等 アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロに試乗

公開 : 2019.11.13 09:50

アウディは、ルーフラインが低くリアシートの空間がやや狭い、クーペボディのSUVに需要があると読んでいます。スタイリングの変化に合わせた、走りの「スポーツ」度合いの向上はどの程度なのか、英国で評価しました。

単にルーフラインを下げただけじゃない

text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アウディQ7のスタイリッシュなモデルはQ8だが、こちらはQ3に対してのQ4ではない。コンパクトSUVのクーペに充てられた名前はQ3スポーツバック。A3の5ドアボディや、A5の4ドアボディにも、「スポーツバック」という呼び方は用いられている。

アウディのラインナップ的にはイメージしやすい共通性はある。ちなみにQ4は、2020年に登場予定のEV版SUVに用いられる計画。Q3をスポーツバックらしく変えるために、アウディが施した手直しは、実は意外と大きい。

アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロSライン
アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロSライン

ルーフラインは49mmもQ3より低くなり、全長は長く、全幅はわずかに細くなっている。フロントとリア周りのデザインも大きく異なる。すべてのボディパネルが別物なのだという。

クルマの場合、天井を低くしたからといって、必ずしもルックスが良くなるとは限らない。筆者はBMW X4などはいい例だと思う。だが、アウディQ3スポーツバックの仕上りはなかなか良い。ベースとなった標準ボディのSUVよりもまとまりが良い、数少ないクーペスタイルのSUVかもしれない。美しいと感じるかどうかは、別だけれど。

Q3スポーツバックの視覚的な違いは主にエクステリアのみで、車内にいると通常のQ3ではなくQ3スポーツバックに乗っていることは、ほとんど意識しない。リアミラー越しの後方視界が狭いという違いくらいだ。

全長を伸ばすことで使い勝手も維持

クーペボディらしい特別さを求めるなら期待外れの車内かもしれないが、インテリアに特段不満を抱くこともないはず。そもそも組み立て精度や使い勝手に優れ、シンプルで先進的なテクノロジー感のあるインテリアデザインは、アウディの秀でた特徴でもある。

Q3スポーツバックは、上級モデルのようにデュアルモニターによる操作系は採用していない。走行中の操作という点ではむしろ物理的なボタンやノブの方が扱いやすく、歓迎できる部分でもある。

アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロSライン
アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロSライン

一方で先代のA3などと比べると、やや安価な素材が目につく。エアコンの送風口はいかにもプラスティック的で、質感にうるさいドライバーは残念に感じるかもしれない。

クーペボディを与えるに当たり、アウディはしっかり工夫も凝らしている。わずかに全長を伸ばしたことで、通常のQ3と同じ530Lの荷室容量を確保。後部座席の足元の空間にも余裕があるし、180cmくらいまでの身重の大人なら、頭上回りは窮屈でも不満なく座れる。

それを超えると頭を少しかがめる必要が出てくる。リアシートの背もたれを倒せば座高を斜め後ろに逃せるが、レンジローバー・イヴォークの方が後部座席の居心地はいいはず。

Q3スポーツバックの優先事項は、ルックスの良いバックシャンなSUVを作ることだったはず。だがちゃんと「スポーツ」も忘れてはいない。ステアリングは特別仕立てで、スポーツサスペンションも装備する。試乗車にはオプションのアダプティブ・ダンパーも付いていた。

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