「旧友」へ再会したような アウディQ3 スポーツバックへ試乗 安全・安心な足取り 2025年に3代目へ交代

公開 : 2024.05.01 19:05

2代目アウディQ3がモデル末期のアップデート ソリッドで高品質なインテリア 後席や荷室の空間は狭め 静かで安楽なプラグインHV 気張らずに速い 英国編集部が評価

アウディでQ2の次に小さくお手頃なSUV

2代目アウディQ3が登場したのは2018年。このブランドでQ2の次に小さくお手頃なSUVとして、重要なポジションを守ってきた。

基礎骨格は、フォルクスワーゲン・グループのMQBプラットフォーム。競合ブランドからの乗り換えを誘導する、魅力的な価格設定に一役買った、汎用性の高いものだ。周囲との違いを求める人向けに、高性能でお高い選択肢も用意されたが。

アウディQ3 スポーツバック 45 TFSI e Sライン(英国仕様)
アウディQ3 スポーツバック 45 TFSI e Sライン(英国仕様)

ボディスタイルは、ハッチバックのような通常のQ3と、クーペ風のQ3 スポーツバックという2種類。今回は後者を選んだ。

全長は、通常のQ3が4484mmで、スポーツバックでは4500mm。全幅は前者が1856mmで、後者が1843mm。全高は1585mmに対し1556mm。このクラスとしては平均的な大きさだが、スポーツバックの方が僅かに長く低い。

スタイリングは、クラス上のモデルへ通じる落ち着いたもの。SUVらしい無骨さは控えめで、ボディサイドが大きくえぐられるなど、面構成は彫刻的。スポーツバックでは荷室容量と引き換えに、滑らかなルーフラインをまとい、華やかな雰囲気がある。

英国仕様の場合、エンジンの選択肢は1.5Lか2.0Lのターボガソリン「TFSI」のほか、2.0Lのターボディーゼル「TDI」も選べる。35 TFSIか35 TDIでは、最高出力は150ps。40 TFSIか40 TDIでは192ps、45 TFSIでは245psを発揮する。

35では前輪駆動だが、40と45では四輪駆動のクワトロが標準。トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマチックが組まれる。35 TFSIには、唯一マニュアルも設定される。

ソリッドで高品質なインテリア 空間は狭め

今回試乗した、プラグイン・ハイブリッドの45 TFSI eも提供され、こちらは前輪駆動のみ。150psの1.4Lガソリンターボに、115psの駆動用モーターが組み合わされ、システム総合の最高出力は245psがうたわれる。駆動用バッテリーは10.4kWhだ。

直列5気筒ターボを搭載したRS Q3は、2023年をもって英国での販売は終了。SQ3も選べない。2025年には、新世代のQ3が登場予定だ。

アウディQ3 スポーツバック 45 TFSI e Sライン(英国仕様)
アウディQ3 スポーツバック 45 TFSI e Sライン(英国仕様)

2代目Q3のインテリアは、最新スタイルより前世代のデザイン。デジタル技術に不足はなく、大きなシフトセレクターがセンターコンソールにあり、エアコンには実際に押せるハードボタンが並ぶ。ステアリングホイールは、ちゃんと丸い。

プレミアムブランドらしく製造品質は高く、触感はどこもソリッド。古い友人へ再会したような、うれしさがある。

45 TFSI eでは、Sラインが標準。前席にはスポーツシートが組まれ、身長が高い大人でも快適な運転姿勢へ落ち着ける。メーター用モニターは高精細で見やすい。タッチモニターは稀に反応が悪いことがあるが、運転中でも操作はしやすい方だ。

後席は、このクラスでは平均的な広さ。ルーフが傾斜するスポーツバックの場合、高さ方向に制限がある。成長期の子どもが、窮屈に感じるほどではないだろう。

荷室は、ハイブリッドのシステムが床下に積まれ、実用性には多少の犠牲がある。形状はスクエアで、フックやカーゴネットが備わり、使い勝手は良い。ハッチバック・ボディのQ3と比較すると奥行きがなく、収まらないベビーカーはあるかも。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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