荷室の広さはQ3と同等 アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロに試乗

公開 : 2019.11.13 09:50

走りの違いは引き締まった乗り心地程度

正直、この手のSUVを好んで購入する層の場合、Q3とQ3スポーツバックとの走りの違いに気づくことはないかもしれない。ステアリングのレスポンスが鋭さを若干増している程度で、両車を直接乗り比べてみない限り、その差を実感することは難しいだろう。

クルマの運転に落ち着いた雰囲気を好み、過度な刺激を求めないのなら、Q3スポーツバックを選んで後悔はしないだろう。運転して感じられる明確な違いは、標準のQ3よりも乗り心地がしっかりしていること。

アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロSライン
アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロSライン

路面状態が悪くても酷い衝撃にさいなまれることはないが、タイヤがどんな道を転がり進んでいるのかを意識させるような、細かな振動が常に伝わってくる。筆者としてはもっと落ち着きのある乗り心地をSUVには求めるものの、ドライバーによっては歓迎する人もいるだろう。

最も期待に沿わなかったのがパワートレイン。性能上はフォルクスワーゲン・ゴルフGTIと同等の加速性能を備えているが、額面ほどの鋭さを感じることはなかった。全体的に滑らかさが追求され、突発的な印象が薄められたからかもしれない。上質なことは良いのだが、迫力に欠けると感じることもありそうだ。

以前試乗した時もそうだったが、アクセルペダル操作に対しての反応が、どうにも緩慢に感じられる。デュアルクラッチATの変速マナーも、どこかシャキッとしたところがない。

総合力で見れば標準のQ3も捨てがたい

アクセルを踏み込まない限り、停止状態からの加速や追い越し加速でのキックダウンも、望み通りにはいかない印象だった。ドライブモードをスポーティなものに変えれば良くはなるが、今後登場するRS Q3スポーツバックには期待したいところだ。

確かに45 TFSIというトップスペックのエンジンを搭載したQ3スポーツバックでも、どこか生温さはある。とはいえQ3スポーツバックの競争力は低くなく、標準ボディのQ3にない部分をうまく補っているといえる。

アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロSライン
アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロSライン

ライバルがひしめくコンパクトSUVの中で、突出した存在感があるともいいにくい。ボルボXC40は優れたフィーリングと個性を備えているし、レンジローバー・イヴォークはより高級感が高く車内も広い。BMW X2の運転感覚は、明確にスポーティだ。

明確な欠点はないものの、際立った特徴もないのがQ3スポーツバック。もちろん、このクラスの購入を考えているのなら、候補として加える価値は充分にある。ただし、Q3の方が総合力で勝っていることも確かではある。

アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロSラインのスペック

価格:4万875ポンド(568万円)
全長:4500mm
全幅:1843mm
全高:1556mm
最高速度:231km/h
0-100km/h加速:6.5秒
燃費:11.1−11.3km/L
CO2排出量:171g/km
乾燥重量:1625kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:230ps/5000−6200rpm
最大トルク:35.6kg-m/1500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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