【911は最後にEV化されるポルシェ】2030年まで911はガソリンエンジン維持

公開 : 2020.03.04 10:30  更新 : 2020.03.05 11:35

スポーツカーの代名詞の1つといえるポルシェ911。世界的に電動化技術の採用が進む中で、911は当面、純粋な内燃エンジンにこだわるといいます。その理由をポルシェ上層部へ伺いました。

911は最後にEV化されるポルシェ

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ポルシェのスポーツカー部門ディレクター、フランク・ステフェン・ウォリザーが、911の電動化技術採用について、AUTOCARの取材に答えてくれた。少なくとも純EVのポルシェ911は、2030年までは登場しないようだ。

「ポルシェ911は、最後にEV化されるポルシェになるでしょう。それはわたしが引退後のことになるはずです。最後まで911にガソリンエンジンが搭載できるように戦うつもりです」

ポルシェ911ターボS(992型)
ポルシェ911ターボS(992型)

また、911のハイブリッド化についても、しばらくの時間があるようだ。「911に(ハイブリッドの)パッケージを搭載することはとても難しい課題です。2+2の定員は保ちたいですし、適切な荷室も残したい。911らしい形状も崩したくはありません」

「追加となる車重に対する準備もできていません。もし(ハイブリッドを積んた)クルマを作るなら、まったく新しいモデルを考えた方が簡単でしょうね」

これまでポルシェ911のモデルサイクルはおよそ7年。おそらく992型が続く2026年までは、ハイブリッド版が登場することはないと考えて良いだろう。

またウォリザーは、ポルシェ911ターボSが、ポルシェ911の中で最速であっても、最も楽しいわけではない、という評価を改めようと考えている。「ユーザーのフィードバックは理解しています。その対策を施しています」

ライトウェイト・パッケージを追加

新型のターボSはパワーアップし、車高は低められ、より硬いサスペンション・スプリングを獲得。加えて2020年末には、ライトウェイト・パッケージもオプションで導入される。

「ユーザーが選択できるパッケージで、軽量な部品の導入だけでなく、遮音性の部分にも手が加えられます。それぞれは小さな変化ですが、組み合わさると大きな違いになります」

ポルシェ911ターボS(992型)
ポルシェ911ターボS(992型)

筆者はリアガラスをポリカーボネート製にしたり、リアシートを取り外すことも含まれるのか聞いてみた。「その方向で進めています」 とウォリザーは答えてくれた。

ライトウェイト・パッケージは、通常のカレラやカレラSでも選択が可能。992型では、モデルサイクルの後半で「T」は登場しないかもしれない。

ウォリザーによれば、これまでの911カレラTの反応は良いものの、ポルシェとしては定番グレードとして設定するかどうか、充分な検討をしてこなかったという。

2021年に公開される可能性のある911 GT3についても、具体的な仕様を明らかにした。718ケイマンGT4やボクスタースパイダー用に開発された4.0Lのフラット6を、チューニングして搭載するという憶測を否定したのだ。

「答えは、ノーです。われわれはレース用のエンジンにこだわります。費用はかかりますが、サーキットで開発します。レースごとに学び取ることも少なくありません。それが、われわれが継続する手法です」

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