【ミニ史上最速】ミニJCW GPへ試乗 306ps、3000台限定のスペシャル 後編

公開 : 2020.05.08 10:50

いま最もハードコアな内容を持つロードゴーイング・ミニが、JCW GP。最高出力306psに、徹底的な軽量化と、挑発的なボディキットで完全武装しています。日本導入240台という特別なモデルを、ドイツで評価しました。

ハイライトはパワー以上にステアリング

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
新しい3代目ミニJCW GPのハイライトとなるのが、ステアリングのレスポンス。速度感応式の電動パワステが生む重み付けに少し違和感があるが、切り込むほどに歓迎できる仕上がりだとわかってくる。

速度域が上がると、路面からの情報量の少なさを、適度に補ってくれる。標準のJCWをはるかに超える鋭さで、進行方向を変化させていく。

ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW) GP(欧州仕様)
ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW) GP(欧州仕様)

このコーナリング特性を生んでいるのが、優れた姿勢制御と、抑え込まれたアンダーステア。そして、圧倒的なグリップ力だ。

大幅に手の入ったサスペンションと、溝付のレースタイヤによって、滑らかな路面であれば息を呑むようなコーナリングスピードに到達できる。そのかわり、横方向のグリップの限界を迎えるのは、相当に攻め込んだ場面に限られる。

JCW GPのハンドリングの真価を探るには、サーキットで長時間走り込むことが必要となる。標準のBMW M2クーペより、ニュルブルクリンクのラップタイムが速い可能性もありそうだ。

短時間の試乗で確かだったのは、並外れた高速走行時の安定性。空いたミュンヘン郊外のアウトバーンでは、258km/hに届く場面も何度かあった。見事に地面を掴み、さらに速度は増す勢いすらあった。

ミニによれば、環境が許せば265km/hに届くとのこと。もちろん、ミニ史上最速なことは明らかだ。ただし、最速のミニを達成するために、乗り心地は少し犠牲になっている。恐らく読者が想像するほどではないけれど。

サーキット育ちを主張するビジュアル

サスペンションは基本的に強靭だが、柔軟性を失っているほどではない。フロントがマクファーソン・ストラット式で、リアがマルチリンク式となる。

標準のJCWと比較すると、路面の状態に影響を受けやすい。とはいえ、ドイツの路面は全般的に滑らかではあったが。

ブレーキも、最速のミニに相応しい仕事をする。こちらもクラブマンJCWやカントリーマンJCWに用いられているものと同じ仕様。フロントには360mmのディスクと4ポッド・キャリパーが、リアには330mmのディスクとシングルポッドのフローティング・キャリパーが付く。

これまで以上に過激なボディーキットと、低く構えたスタンスもJCW GPの特徴。サーキット育ちであることをビジュアルでも強く主張する。

見た目は、2年半前のコンセプト・モデルを受け継ぎ、機能的な役割もしっかり果たしている。標準のJCWとの違いも明確。加算されたパフォーマンスを、表現したかのようでもある。

フロントで顕著なのは、より大きな冷却ダクトを備える彫りの深いバンパー。ボディサイドにはブレードのように切れ上がったオーバーフェンダーが付き、クルマのシリアルナンバーが刻まれる。

オーバーフェンダーの素材は、BMW i3と同じカーボンファイバー製。8J幅のホイールを収め、ワイドなプロポーションを完成させている。2本出しのマフラーを包むリアバンパー下部も、ディフューザー風のデザインを得ている。

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