【ローバー製MTとCVTに注意】ミニ(BMW) 理想の1台を 英国版クラシック・ガイド

公開 : 2020.03.15 07:50  更新 : 2022.08.08 07:40

BMWブランドとして生まれ変わった第2世代のミニ。当初は賛否両論もありましたが、今では各国で確かなファン層を形成しています。日本でも比較的手頃な値段で中古車が見つかりますが、年式によって注意箇所もあるようです。

2台として同じミニは存在しない?

text:Malcom McKay(マルコム・マッケイ)
photo:James Mann (ジェームズ・マン)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)

 
1990年代のローバーは、ほとんど干からびた状態だった。BMWの傘下となり、カーデザイナーのフランク・ステファンソンよって設計が進められた、第2世代のニュー・ミニ。もしかすると、ローバーのKシリーズエンジンを搭載した可能性もあった。

最終的にBMWの新ブランドとしての生産が決まり、ブラジルの新しい工場で製造される新設計エンジンが積まれた。工場は、アメリカ、クライスラー社とのジョイント・ベンチャーだった点も面白い。

ミニ(2001〜2009年)
ミニ(2001〜2009年)

そのトライテック社が生み出したエンジンは、鋳鉄製のブロックにシングルカムを備える。Kシリーズよりベーシックな構造だが壊れにくく、スーパーチャージャーを搭載すれば大出力にも耐える。

BMWは新しいミニをスポーツ・ハッチバックに仕立てようとした。優れたハンドリングに、小粋なレトロ風デザイン。オーナーの好みで選べる数多くのオプションが用意され、購入後はオーナーが独自にカスタマイズを加えることも多い。2台として同じミニがないといっても良い。

初代ニュー・ミニには、3種類があった。R50型はミニ・ワンと呼ばれ、ベースグレード。細かい部分でオーナーの好みが反映されているだろう。R50型のクーパーは、よりスポーティな仕様。ECUに変更を加え出力は上がっているが、基本的にはワンと同じ。

1年後に、注目モデルのR53型クーパーSが登場する。エアスクープ付きのボンネットに、ツイン・エグゾーストパイプ、スーパーチャージャーで過給し、6速MTが選べた。

2003年には、トヨタ製のターボディーゼル・エンジンが登場。2004年にR52型のコンバーチブルが追加となっている。

ベースのワンでもミニの個性を楽しめる

いずれのニュー・ミニも、初代BMC時代のミニよりは遥かにボディが大きい。ユーロNCAPなど、当時の安全基準を満たす必要があり、現代的な運転姿勢と、大きなタイヤを納めることも求められた。それでも、パッケージングは余裕があるとはいえない。

初期のクルマにはZF社製のCVTも用意された。ミニ・ワンの場合、0-96km/h加速は2秒遅くなり、最高速度は14km/hほど低くなる。

ミニ(2001〜2009年)
ミニ(2001〜2009年)

過去の良くないイメージもあり、新車当時からあまり良い評価はなかったが、現在もCVTはオススメしない。技術的には素晴らしく、擬似的な6速シーケンシャル・モード備え、変速フィールもスポーツ・モードとツーリング・モードが選べるけれど。

ワンとクーパーに積まれたフェイスリフト前のマニュアル・トランスミッションは、ローバー製のR65ミッドランズ。これも弱点になり得る。6速MTのクーパーSと、フェイスリフト後の5速MTは、より丈夫なゲトラグ製に置き換わっている。

高性能モデルとして、ジョン・クーパー・ワークス(JCW)仕様もBMW公式として用意された。クーパーは131ps、クーパーSは199psを獲得。レーシーな見た目にリアシートを省いたGPワークスは、218psを叩き出した。

BMWとローバーはニュー・ミニを生み出すのに苦労したが、個性や価格、素晴らしいドライビング体験を、ベースモデルでもしっかり備えている。トップグレードを選べば、シリアスな熱い走りも楽しめる。BMW自慢のZアクスルを備えたリアサスが、優れた操縦性を支えている。

その結果、次第に多くのファン層を獲得していった。特にJCWのGPワークスは2000台限定で希少だが、いまならいずれのクルマも入手は可能だ。

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