【よろこんでいる場合じゃない】スズキ・ジムニーの納期、今も最大1年半「待ち」 理由は「過小評価」

公開 : 2020.06.20 05:50  更新 : 2021.10.22 10:15

スズキ・ジムニー/ジムニー・シエラは、発売が2018年7月であったにもかかわらず、今でも最大1年半の納車待ち。生産を強化してもです。いったい何が理由か。スズキ自身のジムニーの捉え方にヒントがありました。

ジムニーの納期、今でも1年〜1年半

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

クルマの納期(注文してから納車されるまでの期間)は、一般的には1〜2か月だ。3か月を超えると長い部類に入る。

今は新車需要の約80%が乗り替えに基づくから、今まで使ってきたクルマを下取りに出して新車を買う。

スズキ・ジムニー
スズキ・ジムニー    スズキ

納期が長いと、新車の納車前に下取り車の車検期間が満了するから、クルマを持たない期間も生じてしまう。あるいは代車を用意してもらわねばならない。

このように納期遅延は顧客満足度の低下に繋がり、ユーザーを逃すこともあるので、各メーカーとも気を配っている。

それなのに納期を長期間にわたって著しく遅延させているのがオフロード軽SUVのジムニーだ。

販売店で納期を尋ねると以下のコメントが帰ってくる。

「軽自動車のジムニー、小型車のジムニー・シエラともに、1年から1年半を要しています」

「契約時点では正確な納期はわからず、生産時期がハッキリした時点でお伝えしています」

ジムニーの発売は、シエラを含めて2018年7月だった。

発売直後から納期は1年以上に遅延して、同じ状態が2年近く続いている。

ジムニーの発売は、シエラを含めて2018年7月だった。

発売直後から納期は1年以上に遅延して、同じ状態が2年近く続いている。

生産台数を増やしたが納期ちぢまらず

発売時点で公表した国内販売目標台数は、ジムニーが1年間で1万5000台(1か月に1250台)、ジムニー・シエラは1年間に1200台(1か月に100台)であった。

この状態では納車が追い付かなかったため、2019年に入った段階で、販売店では「生産台数を1.5倍に増やした」と説明した。

販売店からは「ジムニーの生産台数が増えた代わりに、ほかの車種の生産に、一部滞りが生じている」という話も。
販売店からは「ジムニーの生産台数が増えた代わりに、ほかの車種の生産に、一部滞りが生じている」という話も。    スズキ

ジムニーの届け出台数も、2018年は1か月当たり1800〜2000台で推移していたが、2019年1月には2410台に高まった。

2019年3月の登録台数は3972台に増えている。

溜まった受注をある程度は解消したが、販売店からは「ジムニーの生産台数が増えた代わりに、ほかの車種の生産に、一部滞りが生じている」という話も聞かれた。

この時期のジムニーは、部品の供給等も含めて、限界的な生産をおこなっていた。

2019年4月以降のジムニーは2300台前後で届け出を続け、9月には再び3000台を超えた。

2019年10月から、コロナ禍の影響で届け出が落ち込む直前の2020年3月までは、おおむね2000台から2500台で推移している。

それでも納期は縮まらずに1年から1年半を要する。

その理由は何なのだろうか。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

関連テーマ

おすすめ記事