新ターボで167psへ増強 ツイステッド・スズキ・ジムニーへ試乗 制限速度内で気持ちイイ

公開 : 2023.09.16 19:05

ディフェンダーのチューニングで知られるツイステッド社 ジムニー・シエラを入念にモディファイ 自然と笑顔になるオフローダー

自然と笑顔になるシンプルなオフローダー

グレートブリテン島の北東部、サースクの町に拠点を置くツイステッド社は、ランドローバーディフェンダーのモディファイが得意なことで英国では知られている。そんな彼らが、スズキジムニー(ジムニー・シエラ)に目をつけた。

筆者は、同社が手掛けるディフェンダーが好きだ。そして、ジムニーも大好き。2018年末に英国編集部が試乗した際も、「今年運転したクルマの中で、最も好感が持てる1台」だと評している。

ツイステッド・スズキ・ジムニー・リディファインド(英国仕様)
ツイステッド・スズキ・ジムニー・リディファインド(英国仕様)

乗り心地は落ち着かず、操縦性は今ひとつ。グリップ力も高いとはいえない。それでも、好ましい個性が備わるモデルに対しては、つい大目に見てしまいたくなる。振り返れば、初代ディフェンダーもそんなクルマだ。

ツイステッド社を創業したチャールズ・フォーセット氏も、似た考えを持っているに違いない。「アナログでシンプルなオフローダーです。運転していると、自然と笑顔になりますよね」。と、ジムニーを表現する。筆者もそう思う。

事実、初代ディフェンダーと現行型ジムニー(JB74W型)との共通点は少なくない。モノコック構造が一般的な時代に、別体のラダーフレーム・シャーシの上へ四角いボディを載せている。

フロントに4気筒エンジンが縦置きされ、前後ともリジットアクスルの四輪駆動。ローレンジ・トランスファーを備え、オンロードでの燃費を改善させるため、後輪駆動へ切り替えることもできる。

ベースは貨物用バン 新ターボで167psへ向上

悪路性能も立派だ。シャシーが路面と接する角度は、フロント側のアプローチアングルが約40度。ホイールベース間のブレークオーバーは28度で、リア側のデパーチャは約50度もある。ジープラングラーにも劣らない数字が並ぶ。

ボディサイズは小さく、最小回転直径は9.8m。最低地上高は210mmあり、車重は1135kgと軽い。大きくパワフルなオフローダーでは走破できない入り組んだ場所にも、難なく立ち向かえる。小さいのに有能。魅力を感じないわけがない。

ツイステッド・スズキ・ジムニー・リディファインド(英国仕様)
ツイステッド・スズキ・ジムニー・リディファインド(英国仕様)

英国でも発売当初から人気を博したジムニーながら、CO2排出量が178g/kmと低くないことを理由に、2020年に販売を一時ストップ。商用車に対する規制の緩さに目をつけ、2021年からは貨物用のバン(LCV)として再販されている。

窮屈だったリアシートはなくなったが、4シーターとして乗られるシーンは限られるはず。ツイステッド社がベース車両とするジムニーも、その貨物用バン仕様となる。

彼らのモディファイはパワートレインにも及ぶ。1.5Lエンジンには新しいターボチャージャーが組まれ、最高出力は167psまで向上。アクセルオフと同時にブーストが抜ける悲鳴が響き、思わず頬が緩む。

サスペンションは、スプリングとダンパーを交換。ノーマルではアンチロールバーはフロントのみだが、安定性を求めてリアにも追加されている。

アルミホイールは、フェンダーラインとピッタリ揃う、5スポークの16インチ。タイヤは、BFグッドリッチのオールテレーンが組まれる。5本とも。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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