【BMW製FFホットハッチ】BMW 1シリーズ 128tiプロトタイプへ試乗 登場は年末

公開 : 2020.09.25 10:20

6気筒から4気筒へ、FRからFFへと生まれ変わったBMW 1シリーズ。残念に感じるファンもいるかもしれませんが、期待できる128tiが待ち構えています。BMW製のホットハッチへ、英国編集部が試乗しました。

BMWによるFFのホットハッチ

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
英国へは2020年11月に、3万2000ポンド(435万円)の価格で導入予定。FFのBMW 1シリーズとしては初となるホットハッチ、128tiが間もなく登場する。

BMWによる、新境地の開拓は確実に進められている。不明なことも多い。それでも、素晴らしい結果につながることを、期待しないわけがない。

BMW 1シリーズ 128ti プロトタイプ
BMW 1シリーズ 128ti プロトタイプ

開発中のBMW 128tiは、自動車業界の急速な変化を物語っている。5年前、ミュンヘンからFFのホットハッチが登場するとは、フォルクスワーゲンホンダも想像していなかっただろう。

BMWにとって、前輪駆動のホットハッチは前例がある。過去数年間、ホットなミニの開発に多くの技術者が関わってきた。JCW GPのAUTOCARでの評価は奮わなかったが、多くのミニは素晴らしい仕上がりを得てきた。

一方でBMWファンなら、tiというイニシャルに心が動くだろう。1963年の1800ti以来、3度目の復活となる。

BMWで、このtiが意味することは1つ。264psのホットハッチは、目的地までのスピードではなく、ドライビング体験の豊かさに重心がおかれているということ。ドイツのエンジニアが、「物理的な操縦のしやすさ」と表現するような特長だ。

ハードウエア的には、1シリーズの頂点、四輪駆動のM135iと共通する部分が多い。しかし、FFの128tiには、数多くの変更が加えられている。

1998ccの4気筒ターボは共有するが、最高出力は310psから264psへ落とされている。トランスミッションは、8速ATのみ。ほかに選択肢はない。

四輪駆動のM135iより快適で機敏で、魅力的

BMWによれば、ドライバーに焦点が向けられたホットハッチに、MTを搭載しない理由は2つあるという。1つは、MTが全体の30%にも満たないだろいうという読み。

2つ目は、環境規制値をクリアするために、ロングギアが必要になるということ。8速のATなら、低い段数で力強い加速を引き出しつつ、高い段数でクルージングさせることができる。

BMW 1シリーズ 128ti プロトタイプ
BMW 1シリーズ 128ti プロトタイプ

サスペンションは、アダプティブではない通常のタイプ。シャシーとの組み合わせで、非常に興味深い仕上がりを獲得している。ニュルブルクリンク周辺の一般道を走らせた限り、M135iより128tiの方が快適で機敏で、より魅力的なことは明確だった。

筆者はまだ8代目ゴルフGTIに試乗していないが、シビック・タイプRより機敏で扱いやすく感じた。一方で、フォード・フォーカスSTほどの、自由度もない。どちらも、BMWの技術者がベンチマークに設定したモデルだ。

全体としては、BMW製のホットハッチに期待する通りの挙動といえる。軽快でありながら落ち着きがあり、アクセル操作での調整域が大きい。

アンダーステアを減らし、ターンインを改善するため、M135iのアンダーボディ・ブレースを改良。前後ともに、タイヤのトーイン角は減らされた。スプリングレートは8%ほど硬くなり、ダンパーの圧縮時の減衰力は、リア側でより高められている。

エンジニアの話では、これらの改良により、当初は過敏過ぎる状態になっていたという。尖った設定なのだろう。

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