レクサスGS300h Fスポーツ

公開 : 2013.12.10 22:00  更新 : 2017.05.29 19:24

■どんなクルマ?

GSシリーズのミッシングリンクと呼ばせてもらおう。

各メーカーがしのぎを削るEセグメントにおいて、レクサスにはドイツの御三家が売りにする超低燃費ディーゼル・エンジン・モデルの対抗馬が存在しなかった。それに、環境性能に応じて税率が変化する現物給与税(社有車を利用する従業員に課せられる英国の税制度)の面でも対抗できるものがなかった。こうした欠点を修正することで、異色の失敗作でしかなかったGSは、手ごわいライバルに生まれ変わった。

なぜなら現行GSシリーズで2台目のハイブリッド・モデルとなるGS300hには、今やライバルに太刀打ちできる環境性能があるからだ。IS300h搭載の倹約的なパワートレインを使用することで、燃料効率は最善の値がCO2排出量109g/km、燃料消費率21.3km/ℓとなり、GS450hの141g/km、16.4km/ℓという値から改善している。

額面通りに受け取れば、これらの数値はすでに最良のレベルに達している。現物給与税の算出式がディーゼル車に不利なことを考慮すれば、GS300hの維持費の安さは魅力的だ。時間をかけて値引交渉し£31,440(約530万円)でエントリー・レベルのSEグレードを選べば、財布のヒモが固いドライバーでも納得できるお得なプレミアム・カーが手に入るというわけだ。

誇大広告に惑わされずに衛星ナビをあきらめ、小さな17インチ・ホイールとファブリック・シートのSEグレードを選ぼう。GSシリーズは尻上がりに価格が上がっていくからだ。売れ筋と思われるラグジュアリー・グレードは£6,000(約90万円)増しとなる。今回テストしたFスポーツ・グレードは£10,250(約170万円)増しだ。これには素敵な19インチ・アロイホイールが付いてきて、必然的にCO2排出量が115g/kmに、燃料消費率が20.0km/ℓに悪化してしまう。しかしGSが依然として、ほとんどのライバルより優位な立場であることに変わりはない。

■どんな感じ?

どんな味付けがなされようとも、魂を感じさせないトヨタのハイブリッド・パワートレインは滑らかに動き、走りの個性をまったく無くしてしまうのが常である。

走り出すと弱々しい静かな音が聞こえてくる。朝方に布団の中で耳にする牛乳配達業者の古びた電気自動車のあの音にそっくりだ。そこからは、流れるようなニッケル水素バッテリーの駆動と物静かなエンジン音の奇妙なハーモニーを味わえる。そしてスロットルを緩めるとまたあの音に戻ってしまう。

GS300hの場合は、178psという非力な2.5ℓ直4エンジンと、143psのモーターという二つを組み合わせている。独創的なトランスアクスルに収まる遊星ギアが、従来どおり動力の振り分けを決定し分配も行っている。ギクシャクするところがなく洗練されている一方、ダイレクト感に欠け思いどおりにならないところがある。結果として、静かで能率的なパワートレインだが、許しがたいほど退屈だ。

システム出力は220psで、0-100km/h加速は9.2秒を謳う。ほとんどの直接的なライバルより遅いにもかかわらず、キビキビ走らせたいと思えば十分な速さを持っている。走りを楽しみたいときは、ISと同じようにスロットルペダルを相当踏み込まなければならない。ペダルストロークの85%はふくらはぎの動きを無視し、期待した加速を得られないのである。

GS300hの優れている点、ベストな点、買いたくなる理由を公平に考えると、それはガソリンタンクとバッテリーの力を誠心誠意引き出して距離をかせぐことにある。クルマをエコ・モードに保つよう努力するのだ。Fスポーツ・グレードでは5つのモード設定からエコ・モードが選択できる。いっそのことEV・モードでさっそうと走ろう。そうすれば、仕事の気苦労もあっという間に忘れることができる。

たしかに、GSを扱うときの心構えとはそういうものだ。巧妙に作り込まれた乗り味は、酔っ払いのようにふにゃふにゃのステアリングによって気分を悪くするところもあるが、通常の走行では問題ないことだ。

スポーツとスポーツ+という二つのモードは、ドライブトレインの反応を高めダンパーの設定をハードにし、ダイナミックな走りを狙うものだが、走りの楽しさが増すというほどのことはない。

■「買い」か?

熱い走りの逸品をお望みなら、このクルマは勧められない。しかし、そういうものはハイブリッド・カーに必須ではないし、レクサス・ブランドのクルマでは(スーパーカーを作るときの本気っぷりは別として)まずお目にかかれないものだ。

そうしたことも潜在的にはGS300hに好都合なことだと言える。誰がみたってこのクルマは懐にやさしいモデルだし、節操のないブランドのクルマというイメージもない。走りに不足があるからといって、失敗作になることはなさそうだ。

なにを優先すべきか整理して考えよう。そうすれば、とりわけベースグレードのSEなら、このクルマを選ぶのが絶対に成功だと言ってもいい。造りは素晴らしく、顔つきはアグレッシブで、内装も好ましく、見事なほどに静かで、ありふれたクルマに成り下がることもない。そういったレクサスたる特徴をGS300hはすべて兼ね備えている。そのうえ今や環境性能も売れ行きに貢献しそうな数値を手にしている。「必要な品質はすべて揃っている」そう言う人もいるのではないだろうか。

(ニック・カケット)

レクサスGS300hFスポーツ

価格 £41,745(710万円)
最高速度 192km/h
0-100km/h加速 9.2秒
燃費 20.0km/ℓ
CO2排出量 115g/km
乾燥重量 1830kg
エンジン 直列4気筒2494cc + モーター
最高出力 178bhp/6000rpm (合計220bhp)
最大トルク NA
ギアボックス E-CVT

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