【ハイラックスが好きだ】孤高の存在 トヨタ・ハイラックスに惹かれる理由とは?

公開 : 2021.01.16 05:45  更新 : 2021.10.13 12:05

2017年に日本市場に復活したトヨタ・ハイラックス。正規販売される「唯一」の日本のピックアップトラックの魅力を探ります。

ハイラックスが好きだ」

text:Takahiro Kudo(工藤貴宏)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

「ハイラックスが好きだ」

とはいえ、トヨタ・ハイラックスに今どきのクルマとして特別「すごい」ことがあるかといえば、そうでもない……。

トヨタ・ハイラックス(8代目)
トヨタ・ハイラックス(8代目)    トヨタ

むしろ自動車メディア的に最新のクルマと比べたら、決してポジティブな結果にはならないだろう。そんなハイラックスがどうして筆者の心を刺激するのか……。その理由を考えてみよう。

ハイラックスとは、トヨタが展開しているピックアップトラックのことだ。ピックアップトラックとは一般的にはエンジンを車体前方に搭載してボンネットを備えるタイプのトラック。

かつては日本のあちこちで見かけたが、エンジンをフロントシートの下に積むキャブオーバートラックと比べて「全長に対して荷室長が短い」という荷物運搬車としては致命的なウィークポイントがあるので、商用車としては廃れてしまった。

そのためハイラックスは日本での販売台数が減少し、2004年7月に日本国内の販売をいったん終了している(その後も海外販売は継続)。

2017年に復活「今どきのハイラックス」

そんなハイラックスだが、2017年9月に、約13年もの「お休み」を経て日本で復活した。発売がはじまったのは、8代目となった新型(7代目は日本販売なし)だ。

実は、この販売休止からの復活という流れが、日本におけるハイラックスの立ち位置を大きく変えた。

トヨタ・ハイラックス(8代目)
トヨタ・ハイラックス(8代目)    トヨタ

従来のハイラックスはあくまで質素な商用モデルが中心で、プロユース色の濃いモデルだった。しかし復活したハイラックスは、日本において商用ニーズはメインと考えられていない。

ボディはダブルキャブ、駆動方式は4WDのみ。車高が高いスタイリングはクロスカントリー4WDのような無骨な雰囲気で、トヨタの公式ウェブサイトでも「SUV」にジャンル分けされているほどだ。価格もベーシックタイプで約350万円スタートだから、上級SUV水準である。

実車に触れると、ちょっと驚く。時間の流れを感じるからだ。インパネには立派な加飾が備わってチープさがないし、メーターだって透過照明式で上質。衝突被害軽減ブレーキだって備わる。

日本仕様は上級グレードを中心とした構成とはいえ、時間の流れはハイラックスをかつての質素なトラックではなく、普通に「乗用車」として乗ることができる水準に仕立てたのだ。

過去のハイラックスから比べると「ハイラックスってこんなに乗用車ライクなクルマだっけ?」と思うけれど、これが今どきのハイラックスである。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

関連テーマ

おすすめ記事