【GLAを純EVに】メルセデス・ベンツEQA 250 プロトタイプへ試乗 190psのFF 後編

公開 : 2021.01.25 12:25  更新 : 2021.05.18 16:20

コンパクト・クロスオーバーのGLAをベースに、純EVシステムを搭載したEQA。先日の発表に先立って、英国編集部は試作車にドイツで試乗しました。

印象的に優れる4種類の回生ブレーキ

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
メルセデス・ベンツは、EQAプロトタイプの試乗時点では動的性能を明らかにしていなかった。しかし、0-100km/h加速が7.0秒以下であっても納得できるほど、加速は鋭い。GLAより車重は重く、最高出力は190psなのに、とてもたくましい。

さらにEQAで印象的だったのが、ステアリングホイールに取り付けられたパドルを介して制御される、エネルギー回生システム。運転状況に応じて、4種類のモードからアクセルペダルを放した時の減速度合いを調整できる。

メルセデス・ベンツEQA 250 プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQA 250 プロトタイプ

もっとも強力に減速するのが、「D−−」というモード。かなりの勢いで運動エネルギーが電気エネルギーへ変換され、バッテリーに蓄えられる。

一方で標準的なモードになるのが「D+」。アクセルペダルを踏む力を抜いても目立った減速感はなく、惰性走行が可能となる。

D−−では完全に停止する時以外、普通に走っていればブレーキペダルを踏む必要がなく、慣れれば市街地での運転に便利だろう。一方で、D+は高速道路での巡航などに向いている。快適に長距離を走り続けられる。

すばしっこい動的特性と知的なエネルギー制御で、EQAは都市部での利用に最適。ただし、GLAと同一のステアリングシステムを利用している都合で、ライバルほど小回りは効かない。ID.3より、最小回転直径は1mくらい大きいようだ。

航続距離は満充電で400km以上

郊外へ出れば、プラットフォームを共有するGLAより磨かれた、空力特性のメリットが表れる。高速道路を流していても、サイドミラーなどからの風切り音はほとんど聞こえてこない。

一番音量が大きいのは、19インチ・ホイールとスタッドレスタイヤとの組み合わせが生むロードノイズだった。ご想像のとおり、走りの洗練性も極めて高い。そういっても、今の純EVで重要な性能となるは、やはり航続距離だ。

メルセデス・ベンツEQA 250 プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQA 250 プロトタイプ

プロトタイプの試乗では航続距離は明確に示されていなかったが、EQA 250は満充電で400km以上走れると技術者は話していた。ちなみに、77kWhのバッテリーを搭載するフォルクスワーゲンID.3の場合、航続距離は548kmとうたわれている。

航続距離480kmを超えるEQAも登場するのでは、という噂もある。だが、発売当初のラインナップに加わることはないだろう。充電性能は、ACで11kW、DCで100kWにまで対応する。満充電までの時間も、試乗時点ではわからなかった。

車高が高めの前輪駆動ということで、スポーティさが高いとはいえない。サスペンションはGLAと同じで、フロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式という組み合わせになる。

バッテリー搭載による、重量増への対応策は施された。スプリングとダンパーの設定を見直し、アンチロールバーはねじれにくいものになっている。

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