【デザイナーの目】元アウディの和田智 タイヤのサイドウォールに込めた想い ダンロップ・ビューロVE304

公開 : 2021.01.27 06:45  更新 : 2021.10.11 11:30

アウディ/日産でカーデザイナーとして活躍した和田智さん。バーチャル・オートサロンに登場。タイヤの外観デザインを監修するという珍しい経験を語ってくれました。

タイヤのサイドウォール ドット柄に

text:Hidenori Takakuwa (高桑秀典)

ダンロップを展開する住友ゴム工業が、東京オートサロン2021のバーチャル展示会場に出展。ブランドを深く知ってもらうための特設チャンネル「パラレルTV」を開設した。

その中で、快適な車内空間を実現するダンロップのコンフォートタイヤ「ビューロVE304」について、“タイヤのデザイン”を監修したカー&プロダクトデザイナーの和田智氏が熱く語っている。

特設チャンネル「パラレルTV」に登場したデザイナーの和田智さん(右)。
特設チャンネル「パラレルTV」に登場したデザイナーの和田智さん(右)。    住友ゴム工業

これまではパターンのデザインもタイヤの設計担当が行っていたが、ダンロップ全体の統一感を高めるために、外部のデザイナーである和田氏に依頼することに。

和田氏は、日産アウディのカーデザイナーを経て独立。「ビューロVE304」で初めてタイヤのデザインを行ったという。

ちなみに、クルマの絵を描くときに一番最初に描くのはタイヤで、そこにクルマの形を置いて、全体的なボディであったり、キャビンのデザインを成立させていくそうだ。

次代を見据えたスマートタイヤ・コンセプトのもとで開発された「ビューロVE304」は、タイヤのパターンを技術的に高いレベルにしながら、デザイン的にも美しいものを作るべくサイド面にもこだわったのだという。

具体的には、ダンロップには「サイレントコア」という技術がある。これにより「VE304」は非常に静粛性が高いタイヤとなっているが、サイド面の「304」という刻印の背景にドットで独自のグラフィックを入れ、作り手の本気具合とパッションを表現している。

F1の時代を経て、現代、未来へ

ご存知の方も多いように、世界で一番初めに空気入りタイヤを発明した会社であるダンロップは、誕生してから130年以上という長い歴史を持つ。

そして、1960年代〜1970年代のF1は、ダンロップが席巻していた。ジム・クラーク、ジャッキー・スチュワート、グラハム・ヒルといった当時の名レーシングドライバーの胸にダンロップのワッペンが付いていたのだ。

和田智さんがデザインを監修したダンロップのコンフォートタイヤ「ビューロVE304」。
和田智さんがデザインを監修したダンロップのコンフォートタイヤ「ビューロVE304」。    住友ゴム工業

和田氏によると、作り手のパッションは、そういった過去から受け継いできているもので、未来にどのようにつなげていくかも考えたという。

“過去を継承していく行為が未来につながっていく”という考え方がとても重要で、未来だけ見ていても、新しいことだけを考えていても不十分なのだと和田氏は語っている。

そして、ヘリテージをロマンとして捉え、クルマはロマンの賜物なのだという。

しかし、そのロマンというものが、少しずつ蔑ろにされるような社会状況になったと感じているのだとか。クルマというワクワクできる、大切なものをみんなで共有するということも含め、今回のタイヤ作りにおいても、1つの価値を持ちたいそうだ。

304の刻印、光っているようなイメージで作られている「ビューロVE304」は、誰が作ったのかが分かるストーリー性もあるタイヤだ。

サイドウォールの造形的な美しさやロマンまで楽しめ、まさにダンロップの歴史に新たな1ページを刻むタイヤだといえよう。

記事に関わった人々

  • 高桑秀典

    Hidenori Takakuwa

    1971年生まれ。デジタルカメラの性能が著しく向上したことにより、自ら写真まで撮影するようになったが、本業はフリーランスのライター兼エディター。ミニチュアカーと旧車に深い愛情を注いでおり、1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを1998年から愛用中(ボディカラーは水色)。2児の父。往年の日産車も大好きなので、長男の名は「国光」

関連テーマ

おすすめ記事

 

ダンロップの人気画像