【同エンジンのライバル】MGミジェットとトライアンフ・スピットファイア 1.5L 4気筒 後編

公開 : 2021.03.28 17:45  更新 : 2022.08.08 07:33

親会社が合併し、1つの傘下へ収まった2つのライバルブランド。同じエンジンが搭載されることになった、ミジェットとスピットファイアを英国編集部がご紹介します。

洗練性すら感じるMk4のミジェット1500

text:Alastair Clements(アラステア・クレメンツ)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
Mk4のMGミジェット1500の走りは、洗練性すら感じられる。バンパーの位置を約40mm高くするため車高も持ち上げられており、増えた車重も相まって快適と呼べる乗り心地がある。

アクセルペダルを少し踏み込むと、隠れていた個性が目覚めだす。レッドラインは6000rpmに設定されているが、4000rpm以上回してもエンジンから得られるものは多くない。

MGミジェット1500(1974-1979年)
MGミジェット1500(1974-1979年)

トランスミッションはモーリス・マリーナ譲り。5速やオーバードライブの付かない、4速MTだ。Mk4に限らず、ミジェットはドライバーへの要求が多い。運転は慌ただしい。

若干の緊張感を伴うものの、カーブの連続する複雑な道を走らせれば、操縦性の精度は高く見返りも素晴らしい。大きいステアリングホイールも、コーナー手前でタイミングを見計らう必要なく、直感的に操れる。

サスペンションを機能させリアへ車重を移せば、オーバーステアを楽しめる。ドライ路面なら、手に負えなくなるようなパワーもない。でも太いトルクがあるから、濡れた路面では不意に滑ることはあるだろう。

フロアに近い位置に座り、背中をシートバックに押し付けた後にMGの姿を眺めてみると、思いのほか腰高でボディが厚いことに気づく。滑らかなトライアンフと並ぶと特に。

美しい曲面で構成されたスピットファイア1500は、フェイスリフトの成功例。1962年のオリジナル・デザインを、ミケロッティは見事にアップデートさせた。マジェンダやミモザといったボディカラーは、小さかった筆者にも強い印象を残した。

常に少し上を行っていたスピットファイア

今回ご登場願った、ラセットと呼ばれる小豆色も同様だ。「1970年代らしい色ですよね」。とオーナーのポール・カッティングも認める。1978年式のスピットファイアだが、クロームメッキのパーツに交換してクラシックな雰囲気を高めている。

発表はMGの1年後。トライアンフは常にミジェットより少し上を行っていた。排気量は当初から1147ccとひと回り大きく、最高出力も63psと高く、装備も優れていた。四輪ともに独立懸架式のサスペンションが、最大の特徴だった。

小豆色のトライアンフ・スピットファイア1500と黒のMGミジェット1500
小豆色のトライアンフ・スピットファイア1500と黒のMGミジェット1500

ミジェットがスピットファイアへ追いつく前に、トライアンフは68psのMk2を発表。さらに2年後にフェイスリフトを受け、76psを発揮する1296ccエンジンを獲得している。

1970年のMk4では、再度イメージチェンジ。その後の1500へ受け継がれる、クリーンなデザインへ改められた。

初期のスピットファイアでは、アクセルオフでアンダーステアが発生する悪癖を備えていた。原因はヘラルド譲りのスイングアクスル。それも、スイング・スプリングと呼ばれるリア・サスペンションが設計され、修正を受けている。

1974年には、ツインキャブレターでMk4のミジェットと同じエンジンを積む1500が登場。リアのトレッドが広がり、安定性はさらに高められた。

コーナーでは挙動が自然になり、MGミジェット並みに速く走れるように。だがロックトゥロック3.75回転というスローなレシオのおかげで、ステアリングホイールの操作は忙しい。ステアリングへの意識は、ミジェット以上に必要になる。

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