【同エンジンのライバル】MGミジェットとトライアンフ・スピットファイア 1.5L 4気筒 後編

公開 : 2021.03.28 17:45

ミジェットより豪華ながらルーズ

そのかわり、安定している。トライアンフを運転中、うかつにくしゃみをしても、進路が乱れることはない。MG以上に、小さな本物のクルマのように感じさせる。トランスミッションには変速しやすいシンクロが付き、オーバードライブも備わる。

3速から5速を使って運転すれば、現代の交通でもエンジンの回転数を耐えられるくらいまで抑えられる。97km/hで2750rpmだから、比較的静かに郊外を飛ばせる。

トライアンフ・スピットファイア1500(1974-1980年)
トライアンフ・スピットファイア1500(1974-1980年)

速いとは感じないものの、リラックスして運転できるクルーザーのよう。でも、乗り心地がそんな気分を改めさせる。不快なほどではないとはいえ、数mも運転すれば、セパレートシャシー構造だと気づくだろう。

引き締まった印象の強いMGより、ずっとルーズ。不要な振動やノイズがあちこちから聞こえてくる。

車内には、1970年代らしいビニール素材と毛足の長いナイロンが用いられ、サンバイザーも付いている。ダッシュボードからしっかりしたステアリングコラムが伸び、灰皿も用意されている。ミジェットの後に見ると、一層豪華な気がする。

車内の幅は狭いものの、前後長があり深く座るMG。対してトライアンフは誇らしいように着座位置が高い。肘は自然とドアの上辺に乗る。視界も良い。フロントフェンダーの峰を挟むなだらかなボンネットは、ジャガーEタイプにも似た眺めだ。

荷室も広く、オーナーのカッティングはスピットファイアを高く評価している。「1965年までならミジェットを選んだでしょう。でも、1975年以降はトライアンフの方が良いと思います」

長距離の自動車旅行ならトライアンフ

スピットファイアは、ひと目で恋には落ちにくい。でも一度好きになれば、長い結びつきを構築しやすい。ミジェットから感じる瞬間的な魅力は、情熱の低下とともに冷めることもある。

MGミジェットもトライアンフ・スピットファイアも、最初期のモデルがベストかもしれない。でも、最後のモデルを否定するほどではない。

トライアンフ・スピットファイア1500(1974-1980年)
トライアンフ・スピットファイア1500(1974-1980年)

年代を重ねるごとに開発が続けられ、妥協もあったが改善も施されている。日常的な乗りやすさや快適性でいえば、初期のモデルを凌駕している。

どちらが大きな成功を収めたのか。Tタイプのミジェットは18年間で述べ35万4164台が作られた。一方のスピットファイアは、ほぼ同じ期間に31万4342台が作られている。

後期型のスピットファイア1500は9万5829台と、全体の3分の1。MGはトライアンフ・エンジンのミジェットを7万3899台製造し、割合は低い。勝敗を決めにくいほど、差は前後し小さかった。

長距離の自動車旅行を楽しい以上のものにしたいなら、トライアンフは自然なチョイス。でもスタートしてすぐに笑顔が欲しいなら、ミジェットの方が勝つと思う。搭載するエンジンには関係なく。

筆者の印象では、スピットファイアの方が多くの点でベター。より論理的な選択となる。だが17歳の頃は、MGミジェットの方が欲しかった。スピットファイアは大人な選択肢だった。筆者がまだ、ティーンネイジャーだったからかもしれない。

関連テーマ

人気テーマ