【新型メルセデス・ベンツS 400d試乗】高級セダンの「深化・熟成」堪能 前編

公開 : 2021.03.29 05:45  更新 : 2021.10.09 22:31

新型メルセデス・ベンツS 400dに試乗しました。世界が注目する高級セダンの「深化・熟成」を堪能しました。

旗艦の威厳そのまま すっきり世代交代

photo:Hidenori Hanamura(花村英典)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

8年ぶりにフルモデルチェンジを受け、7代目となったメルセデス・ベンツSクラスが日本の路上を走りはじめた。

21世紀になって大きくラインナップを増やし、SUVのリリースにも積極的なメルセデスだが、そのヒエラルキーのトップにSクラスが君臨するピラミッドは変わらない。

メルセデス・ベンツS 400d
メルセデス・ベンツS 400d    花村英典

Sクラスはフルサイズ・サルーンのベンチマークとして自動車世界全体が注目する1台なのである。

現行メルセデスのデザイン思想であるセンシュアル・ピュリティはさまざまなクラスで採用されている。

新型Sクラスでも張りのある面構成によってすっきりとした高級感が表現されている。

フロントグリルは横方向に若干狭くなっており、中央付近の黒い樹脂パネルが少しチープに見える。だがセンサー類を覆うこのパネルこそ、当代最高の電脳モデルの証なのだからケチは付けられないだろう。

日本に導入されるカタログ・モデルは3L直6ガソリン・ターボのISG(マイルドハイブリッド)を搭載するS 500と、3L直6ディーゼル・ターボのS 400dで、どちらのモデルにもホイールベースが2種類用意されるので合計4モデルで構成される。

すべてのモデルの車名の末尾に「4マティック」が付くことからもわかるとおり、W223という型式を与えられた7代目SクラスはすべてAWDモデルとなっている。

大きく変わった室内 生体認証も

センシュアル・ピュリティがすっかり浸透しているので、スタイリングは想定どおり。

一方室内の意匠は大きく変わっている。とくにインパネ回りは一目で質感アップがわかる。

メルセデス・ベンツS 400d
メルセデス・ベンツS 400d    花村英典

先代は横長の立ち上がったダッシュパネルになっており、ナビモニターとメーターパネルがやはり横に長い液晶パネルで連続していた。

ところが今回はステアリング越しのメーターパネルと、センターコンソールの幅いっぱいに大型化された有機ELメディアディスプレイが独立しており、ダッシュパネル自体も斜め方向に寝かされ立体的になっている。

操作系をパネル内に取り込むことでスイッチ類も減り「見た目すっきり」というのは外観に呼応しているようにみえる。

エンジンのスタートボタンを押すとエンジンはかかるが、すぐにドライバーの顔や指紋、声によって生体認証を求められる。

自動車のデジタルガシェット化は今に始まったことではないが「ついにここまで」といった感じ。

今回はゲストとして教えられていた4桁のPINコードでSクラスの中枢にアクセスした。生体認証によってさまざまな個人設定が自動的に再現される仕組みになっているのだ。

凡百のクルマであればエンジンを掛けたらすぐに走りはじめるものだが、新型Sクラスに関してはアイパッドのようなモニター相手にいくらでも時間を掛けることができそうだ。

果たしてディーラーのセールスは何時間かけるのだろうか? 大いに興味がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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