【マイナーチェンジで訴求力上昇】レクサスLC500h クーペ・スポーツパックへ英国試乗 後編

公開 : 2021.07.16 19:05

競合のグランドツアラーほど魅力的なドライビング体験ではないものの、LC固有の魅力を評価する英国編集部。ハイブリッドの500hへ試乗しました。

運転を楽しめるラグジュアリー・ツアラー

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
インフォテインメント用タッチパッドや、高い位置のドライブモード・コントローラーなど、レクサスLCのインテリアの二次的な操作系の配置は、やや直感的ではない。しかし実際に座って全体を見渡せば、車内は長時間過ごすのに素晴らしい場所に思える。

上質な素材がふんだんに用いられ、レクサスらしいソリッドな組み立て品質でまとめられている。波の模様のような曲線や複層に重なる面構成、力強い垂直方向の造形が融合し、芸術性は非常に高い。

レクサスLC500h クーペ・スポーツパック(英国仕様)
レクサスLC500h クーペ・スポーツパック(英国仕様)

もちろん最新の技術も、惜しみなく投入されている。それでいて、ライバルモデルのようにデジタル技術が高い地位へ担がれていたり、主役になっているような印象もない。他とは違う、とてもスペシャルな雰囲気がある。

マイナーチェンジでパワートレインやシャシーに改良が加えられたことで、LCはより洗練され、効率的に運転を楽しめるラグジュアリー・ツアラーへ進化している。喜ばしい変化だ。

ハイブリッド・システムの機能も強化され、日常的な交通状況へ一層フィット。ドライバーが求めれば、豊かな加速性能を引き出すことも可能となった。ブレーキペダルの踏み心地は、若干スポンジーなままだけれど。

従来のランフラット・タイヤでは、乗り心地や操縦性、ステアリングなど、LCが備えるポテンシャルを充分には発揮できていなかったと思う。マイナーチェンジ後は、そのすべてが遥かにブラッシュアップされている。

目に見えて向上したアクセルレスポンス

重いボディを持つLCだが、グランドツアラーと呼ぶに値する衝撃吸収性と、路面からの隔離性を獲得。21インチの大径ホイールは、鋭い入力や市街地の継ぎ接ぎの多い区間で、車内の平穏を乱すこともある。だが、従来ほど邪魔に感じることはなくなった。

郊外に出れば、横方向のタイトな姿勢制御が光る。操舵感はバランスに優れ、重み付けや感触も良好。運転する安心感へもつながっている。

レクサスLC500h クーペ・スポーツパック(英国仕様)
レクサスLC500h クーペ・スポーツパック(英国仕様)

起伏のある道を速めの速度で走らせると、ボディが浮き足立つような印象があり、軽くない車重を実感させられる。だが、コーナリング時はそれほど気になるわけではない。快適性が根底にある。

レクサスは、LC500hへ搭載されるV6エンジンのクランクスピードを、全回転域で高めたようだ。アクセルペダルを踏み込めば、6600rpm以上まで軽快に吹け上がる。

パフォーマンスで1番強く印象付けられたのが、ハーフスロットル時のレスポンス。ドライブモードをスポーツSかスポーツS+に切り替えると、中間加速時にアクセルペダルの操作へ合わせて、電気モーターが大きなトルクを上乗せしてくれる。

自然吸気ではなく、ターボエンジンに感じさせるほど。無段階のトランスミッションも、従来のハイブリッドシステムとは異なり、一般的なトルクコンバーター式ATのように動くようになった。

穏やかな加減速時は、違和感なくシフトアップする。アクセルペダルを踏み込み、キックダウンを求めた時の反応も向上している。ただし高負荷時などでは、若干空回りするような印象は残っている。

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