【2.5L直6か3.5L V8か】ローバーP6 3500Sとトライアンフ2.5 PI 1970年代の好敵手 後編

公開 : 2021.10.24 17:45

荒波に揉まれた英国ブランド、トライアンフとローバー。1970年代にしのぎを削った2台のエグゼクティブ・サルーンを、英国編集部がご紹介します。

成功者をターゲットとした上質な車内

執筆:Greg Macleman(グレッグ・マクレマン)
撮影:Luc Lacey(リュク・レーシー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ライバル関係にあったトライアンフ2.5 PIのフェイスリフトを受け、ローバーも1970年にP6をリフレッシュ。スマートなメーターパネルと新しいテールライトを採用し、シリーズ2を発表する。

ボンネットのパワーバルジは、V8エンジン搭載車に限らずP6共通で与えられた。エアインテークも新しくなっている。ただ、基本的なスタイリングに変更はない。

ベージュのローバーP6 3500Sと、レッドのトライアンフ2.5 PI Mk2
ベージュのローバーP6 3500Sと、レッドのトライアンフ2.5 PI Mk2

さらに1971年、P6では定番となっていたボルグワーナー社製の3速ATに加え、4速MTが追加。3500Sの仕様では0-97km/h加速を約9秒でこなし、燃費も改善させている。

本来4気筒エンジンで始まった大型サルーンは高いパフォーマンスを獲得し、大きな反響を呼ぶが、トランスミッションは信頼性に欠けていた。そのおかげで、P6 3500の残存台数は非常に少ない。

今回ご協力願ったのは、ピーター・リーブ氏がオーナーの3500S。ベージュの見た目は大人しく、フロントに貼られたV8というエンブレムも、観察しなければ気付きにくいかもしれない。

しかし、重々しいドアを開き車内へ身体を滑らせると、3500のラグジュアリーな「S」であることが理解できる。当時のこのクラスとして、仕上がりは上級と呼べるものだ。

3500Sも2.5 PIも、戦後の英国での成功者をターゲットとしていた。インテリアの設えは、エンジンのパフォーマンスと同じくらい重要な要素だった。フォードや英国オペルヴォグゾールより高水準で仕立ててある。

現代的で広々とした車内のトライアンフ

3500Sは、1974年式。ショールームに飾られていた時を彷彿とさせるほど、見事にレストアしてある。彫刻的なシートは、オプションのクロス張り。小物やスイッチ類に至るまで美しい。

磨き込まれたステアリングホイールに、ダークウッドのパネルと毛足の長いカーペット。ブラウンが印象的な車内は、全長4566mmあるだけに広々としていて居心地も良い。

ローバーP6 3500S(1971〜1976年/英国仕様)
ローバーP6 3500S(1971〜1976年/英国仕様)

半透明のプラスティックで造形されたグリーンのエアコン用スイッチなど、個性的なディテールにも興味が引かれる。眺めるほど、細部まで丁寧にデザインが施されていることに気付く。

他方、1972年製の真っ赤なトライアンフ2.5 PIを持ち込んでくれたのは、オーナーのルイジ・マイオ氏。シートはナイロン生地で仕立てられ、リアのベンチシートは広大。ダッシュボードやドアパネルには、ウッドパネルが贅沢に用いられている。

ダッシュボードの見やすいレイアウトや、グローブボックス下の荷物台など、ローバーP6よりやや現代的な雰囲気がある。ホイールベースは2692mmあり、P6の2625mmより長い。トレッドもワイドで、リアの足もと空間は70mmほど広い。

車内は巧妙にレイアウトされ、大きく四角いグラスエリアからの視界も良好。実際以上にゆとりを感じる。一方で、組み立て品質はローバーの方が高い。ウインカーレバーや三角窓の構造なども、ローバーの方が印象に優れる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・マクレマン

    Greg Macleman

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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