クワトロの40年 前編 直5とEVを乗り比べ クワトロの本質を探る 今も色褪せぬオリジナルの走り

公開 : 2022.03.05 13:25

クワトロという名は、アウディの4WDシステムの総称という意味合いを超えたオーラを、40年以上経ても放ち続けています。その源泉たる1980年登場のオリジナル・クワトロと、最新の2モーター式クワトロを乗り比べます。

普及しても希薄化しないブランド

クワトロ。じつにシンプルな言葉だが、この4文字は自動車の世界において屈指の、ある時代を象徴するイメージを伴う。ワルター・ロールとハンヌ・ミッコラが鎬を削った世界ラリーのマシン、BBCの人気ドラマの主人公の愛車、最近ではケン・ブロックのために造られたS1フーニトロン。いずれも、元祖クワトロや、それにインスパイアを受けたものだ。

そして、いまでもクワトロの名は、どこか神秘性を感じさせる。たとえ、アウディが自社モデルの大半にその名を持つ4WDシステムを設定し、そこには2.0Lクラスのありふれたファミリーセダンまでもが含まれているとしてもだ。

クワトロのブランド力が40年を経ても衰えないのはなぜか。そもそも、クワトロの本質とは。それを探るべく、元祖クワトロと最新の電動クワトロを連れ出した。
クワトロのブランド力が40年を経ても衰えないのはなぜか。そもそも、クワトロの本質とは。それを探るべく、元祖クワトロと最新の電動クワトロを連れ出した。    LUC LACEY

ワルター・ロールのエッセンスが、クワトロのサブネームを与えられたアウディには総じて吹き込まれている。ガレージに収まっているそれにも、街を走るそれにもだ。そうなると、ブランド力が希薄になりそうなものだが、そういうことは起きていない。クワトロというネーミングは、これほどありふれてさえ、パフォーマンスとオールラウンド性を主張するところがある。BMWメルセデス・ベンツには、みられることのない現象だ。

いったい、クワトロとはなんなのか。その答えを求めて、われわれは強い風の吹くイングランド東部の沼沢地帯へクルマを走らせた。それも、元祖と最新のクワトロをだ。クワトロと自動車の世界、その両方の変化を同時に表そうというなら、これ以上の組み合わせはない。

クワトロの誕生は1980年

オリジナルのクワトロ10vは、ラリーカーと直接的な関係を持つロードカーだ。実際、これは伝説的なグループAマシンの前触れとして、1980年のジュネーブショーに登場した。ラリーカーはその後、同じ年の秋にデビューしている。

最新モデルのほうは、E−トロンGTだ。アウディのバッテリーEVラインナップにおいて、フラッグシップとなるスポーツモデルで、ポルシェタイカンとの共通点が多いクルマだということはご存知だろう。

動力源も駆動メカニズムもまったく異なる新旧クワトロ。ホイールサイズは15インチから21インチまで拡大した。
動力源も駆動メカニズムもまったく異なる新旧クワトロ。ホイールサイズは15インチから21インチまで拡大した。    LUC LACEY

いずれもクワトロを名乗る四輪駆動システムを積み、1980年以来、この名のメカニズムが特徴としてきた扱いやすいパフォーマンスを体現する典型的なクルマだ。E−トロンGTが、電動パフォーマンスカーが溢れるなかで、綺羅星のごときクワトロの遺産たちと同じようなものとなるのには苦労するだろうが、それでもこのクルマの登場は、アウディにとって意義深い。ブランドの象徴的なモデルが電動化するとしたら、それは明らかにこういう状況だといえる。

そうはいっても、まずはオリジナル・クワトロありきの話だ。ジャンルを確立したクルマであり、ここから話を進めていくのが理に適っている。それから、40年以上を経て登場したE−トロンGTに、クワトロの遺伝子は息づいているのか確かめてみたい。

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