アウディRS e-トロンGTへ「パフォーマンス」追加? 改良版プロトタイプへ試乗 一層GTに

公開 : 2024.04.21 19:05

ポルシェ・タイカンの兄弟、e-トロンGTが小変更 トップグレードに「パフォーマンス」追加? 最高出力700ps前後、航続距離500km以上? 英国編集部が試作車へ試乗

RS e-トロンGTに「パフォーマンス」追加?

新モデルやマイナーチェンジの情報は、メーカー側から掲載日時が指定される場合がある。通常は1週間ほど先のことが多いものの、稀にもっと待たされることがある。

アウディRS e-トロンGTのアップデート版は、その縛りが長かった。筆者が試乗したのは、2023年12月だ。その時に、同社の技術者は改良を受けた技術詳細を明らかにしなかったが。

アウディRS e-トロンGT(フェイスリフト版プロトタイプ)
アウディRS e-トロンGT(フェイスリフト版プロトタイプ)

駆動用バッテリーやモーター、サスペンション、ソフトウエア、充電能力に変更があり、運転体験も変わったことを認めた。しかし、具体的な数字やコンポーネントに関しては、質問しても言葉を濁した。

筆者が運転したプロトタイプのe-トロンGTが、どのグレードかも伝えたくなかった様子。だが、高性能な「RS」で、新しく追加になるであろう「パフォーマンス」仕様なことは想像できた。

「弊社の開発は、エントリーグレードから初めるわけではありません」。研究開発部門を率いるステファン・ライル氏が、こう説明したからだ。彼は以前、アウディR8の開発責任者を努めていた。RS e-トロンGTにも、素晴らしい知見が落とし込まれたはず。

2024年に入り、フォルクスワーゲン・グループのポルシェは、タイカンのアップデート版を発表した。AUTOCARの読者ならご存知の通り、e-トロンGTとは、J1と呼ばれるプラットフォームを共有している。

両ブランドは独自にモデル開発を進めているが、技術的な結びつきは強い。e-トロンGTにも、同等の内容が与えられたことは想像に難くない。恐らく、先方の発表を待つ必要があったのだろう。

見た目に大きな変化なし 航続距離500km以上?

e-トロンGTは、アウディのバッテリーEVの中でも人気が高い。2021年の発売以来、3万台以上が売れている。その30%以上が、トップグレードのRSだった。

この支持率を受け、アウディはスタイリングに大きく手は加えなかった。写真のとおり、試乗車には偽装用のラッピングが施されていたものの、殆ど変化がないことまでは隠せていない。

アウディRS e-トロンGT(フェイスリフト版プロトタイプ)
アウディRS e-トロンGT(フェイスリフト版プロトタイプ)

そのかわり、従来以上にグランドツアラーとしての能力を高めたという。長距離を高速・快適に移動できるという特徴だ。

今でも技術的な情報は伝えられていないが、駆動用バッテリーは新しくなると考えて良い。改良後のタイカンは、ニッケル・マンガン・コバルトを正極に用いた、容量82kWhか97kWhの三元系ユニットを採用したが、恐らく同じものが載るだろう。

前後に搭載される駆動用モーターも、更新されるはず。航続距離は、500kmを超えると予想できる。急速充電能力も、最大270kWから320kWへ上昇すると思われる。

ライルはどの程度パワーアップするのか教えてくれなかったが、タイカンとの間に、一定のギャップが設けられることは間違いない。高性能なタイカン・ターボSの最高出力は775psある。 RS e-トロンGTは、700ps前後ではないだろうか。

プロトタイプを運転した限り、従来よりパワフルになったことは明確。強烈な加速が無限に続くように感じられ、試乗した中東オマーンの広大な一般道が許容するレベルを遥かに超えていた。高性能なバッテリーEVが迅速なことは、珍しくないとしても。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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