ホンダ 次期NSXをEVフラッグシップとして投入か 5兆円かけて電動化加速

公開 : 2022.04.19 18:05

ホンダが発表したEV戦略の中に、NSXの後継らしきスポーツモデルも含まれています。発表の内容を纏めます。

大規模な電動化戦略 旗艦モデルはNSX

ホンダは、電動化戦略として30車種に及ぶEVラインナップを展開する計画だが、そのフラッグシップモデルに次期「NSX」が据えられることになりそうだ。

ホンダは2030年までに200万台以上のEVの生産を目指すほか、全固体電池技術の導入、EVスポーツカーの発売、2040年までに全世界でICE車の販売を終えることなどを目標に掲げている。2050年までにカーボン・ニュートラルを達成する計画だが、三部社長は、電動化には「エンジンからバッテリーへの単純な置き換えではない、多面的・多元的なアプローチが必要」としている。

ホンダが予告した電動フラッグシップスポーツカー
ホンダが予告した電動フラッグシップスポーツカー    ホンダ

そのために、約8兆円の研究開発予算の一部を、水素パワートレインとバッテリー交換技術の開発に充てる予定である。このうち、約5兆円は「電動化とソフトウェア領域」用に確保されている。

また、ホンダは2030年に向けたEV世界展開を発表しているが、この計画にはNSXの完全電動後継車と新しいグランドツアラーが含まれている。ホンダは、「常にFUNもお客様に届けていきたい」と述べ、新型スポーツカーの詳細は明らかにしなかったが、「スポーツマインドと際立つ個性」を体現するモデルの投入を検討しているとのことだ。

グランドツアラーは現行モデルとは無縁に見えるが、新型スーパーカーのシルエットは現行のNSXと明らかに類似している。一方、北米では、ホンダは2024年にゼネラルモーターズと提携し、2車種の「中・大型」電動SUVを発売し、その3年後にはガソリン車と「同等の価格と航続距離」を持つEVシリーズを発売する予定である。

日本では100万円程度の商用軽EVから

中国では、2027年までに10台の新型EVを発売する予定。日本では、まず100万円程度の商用軽EVからスタートし、その後、電動SUVなどの乗用車を導入する。2026年には、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたEV向けプラットフォーム「Honda e:Architecture」の展開を開始し、最新世代の自動運転機能「センシング」を搭載する予定だ。

ホンダはすでに次世代EV向けの新しいデザイン理念を、2021年に3台のコンセプトカーで予告している。e:Architectureプラットフォームがもたらすコネクティビティの強化は、ホンダの今後の戦略の基本となる。ホンダは、「電動モビリティや製品を『端末』と位置づけ、各製品に蓄えられたエネルギーと情報をユーザーや社会と繋げていく」と述べている。

ホンダNSX
ホンダNSX

他のメーカーと同様、自動車のコネクティビティの強化により、新しい収益源を見つけることになるだろう。

現在、ホンダは世界中のさまざまなサプライヤーから液体リチウムイオンバッテリーを調達している。今後の計画として、北米ではEV開発のパートナーであるゼネラルモーターズから「アルティウム」バッテリーを、中国ではCATLから、そして日本ではエンビジョンAESCから調達する。

一方で、ホンダ独自の全固体電池技術の市場投入計画についても明らかにしている。430億円を投じて栃木県に実証ラインを立ち上げ、2024年春に稼動させる予定である。2020年代後半のモデルへの採用を目指しているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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