脱伝統のスタイリング メルセデス・ベンツEQE 350+へ試乗 競争力の高い電動サルーン

公開 : 2022.05.07 08:25

メルセデス・ベンツの定番サルーン、Eクラスに代わる純EVがEQE。英国編集部がその仕上がりを評価しました。

緩やかにカーブを描くシルエット

メルセデス・ベンツは、EQSよりひと回り小さいEQEで、純EV市場へ本気で参入する。スムーズなフォルムをまとう、ミドルクラスのエグゼクティブ・サルーンだ。

EQEは、欧州では主に会社からの貸与車両や社用車として買われるはず。生産工場は、中国・北京とドイツ・ブレーメンの2拠点。エントリーグレードの英国価格は7万ポンド(約1169万円)を切り、ひと回り大きいEQSより販売台数を稼ぐだろう。

メルセデス・ベンツEQE 350+(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQE 350+(欧州仕様)

フロントからリアまで緩やかにカーブを描くシルエットや、滑らかに処理された細部まで、デザインはEQSの縮小版といった印象。リアクォーター・ガラス部分がもう少し短い方が、バランスは良いかもしれない。好き嫌いは、感じ方が分かれると思う。

メルセデス・ベンツといえば、高級車の創始者といえる1社。内燃エンジン車の時代から脱却するに当たり、実績と伝統のあるスタイリングを一掃してしまうことを、筆者はあまり好ましいとは感じない。

長めのボンネットに、バランスの取れたキャビン・プロポーション。どっしりと路面に構えるようなスタンスが、高級車として視覚的に望ましいのではないだろうか。電気エネルギーを効率的に利用するため、空気力学が優先されるとしても。

英国へ最初に導入されるグレードは、300と300+の2種と、ツインモーターで四輪駆動のAMG EQE 53。追って、出力の異なるグレードも加わる予定だという。市場によっては、EQE 500とAMG 43も売られるとのこと。

EQSの短縮版構造に90kWhのバッテリー

EQEは、EQSも採用するEVA2カー・アーキテクチャを、短縮して用いている。フロア部分には、実容量で90kWhの駆動用バッテリーを搭載できる。ホイールベースは、108kWhのバッテリーを搭載できるEQSより90mm短い。

サスペンションは、エントリーグレードでは一般的なスチールコイルが組まれる。上位グレードでは、メルセデス・ベンツがエアマティックと呼ぶエアサスが与えられる。

メルセデス・ベンツEQE 350+(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQE 350+(欧州仕様)

フォルムが似ているEQSとEQEだが、ボディ後部の処理は大きく異なる。EQSは、リアガラスも一体のテールゲートが付いたリフトバック。EQEでは、通常のサルーンのようにトランクリッドだけが開閉する。

荷室容量は大きいものの、弧を描くルーフラインのおかげで、後部座席の頭上空間は限定的。パノラミック・ガラスルーフが、さらに天井を低くしているようだ。身長が185cm以上ある人は、フロントシートに座った方が居心地は良いはず。

運転席の着座位置は、一般的なサルーンよりわずかに高め。Aピラーが傾斜し死角が小さくないが、それ以外の視認性は良好といえる。

今回筆者が試乗したのは、EQE 350+のアバンギャルドとAMGラインの2台。アバンギャルドの方がシートは快適で、明るめの内装が組み合わされ、筆者としては好印象なインテリアだった。

英国に限っていえば、後輪操舵システムとダッシュボード全面がモニターになるMBUXハイパースクリーンを選べるのは、当初はAMG EQE 53のみとなっている。遅れて投入予定のトップグレードに、目立つ装備は温存しておきたいのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

メルセデス・ベンツの人気画像