水素エンジン搭載 アルピーヌ 奇抜なコンセプトモデル公開 内燃技術を守る

公開 : 2022.10.13 18:25  更新 : 2022.11.01 08:41

フランスのアルピーヌは、新たなコンセプトモデル「アルペングロー」を公開。水素燃焼エンジンを搭載するシングルシーターで、今後のアルピーヌのビジョンを示す奇抜なハイパーカーとなっています。

水素を燃やすハイパーカー

アルピーヌは、新しいコンセプトモデル「アルペングロー」を公開した。水素エンジンを搭載するシングルシートのハイパーカーで、今後発売する量産車やレーシングカーのデザインと技術を予告するものとされる。

アルペングローは、F1や世界耐久選手権など、トップクラスのモータースポーツに携わってきたアルピーヌの歴史の延長線上にあるもので、「将来のアルピーヌのデザイン、テクノロジー、ブレークスルーのすべての出発点」だという。

アルピーヌ・アルペングロー・コンセプト
アルピーヌ・アルペングロー・コンセプト    アルピーヌ

アルピーヌの「コンペティション・スピリット(レースの精神)」を体現するために、何よりもまず、サーキット走行に焦点を当てている。「未来のモータースポーツはこうあるべき」として、奇抜なフォルムだけでなく、パワートレイン技術も大きな特徴となっている。

アルペングローは、水素を燃料とする内燃エンジンを搭載する。その技術的な詳細や、将来のモデルにつながるものかどうかは明らかにされていないが、「ハイブリッド水素内燃エンジンは、環境に優しく、圧倒的なパワーや魅惑的なサウンドなど、他にはない運転の楽しさを備えている」とのこと。

トヨタも、水素燃焼技術を量産化するために、モータースポーツ活動にも力を注いでいる。

また、アルピーヌは、「実質的に蒸気しか排出しない」と述べており、スポーツカーが将来も内燃機関を使い続けながら、カーボン・ニュートラルを実現できる可能性を示唆している。ただし、これは精製過程でCO2を発生させない「グリーン水素」を使用すれば、という仮定の上に成り立つものだ。

水素利用を積極的に検討

AUTOCARは最近、アルピーヌが内燃機関の技術を守る手段として、水素の利用を「積極的に」検討しているという情報をつかんだ。同社CEOのローラン・ロッシは、次のように語っている。

「複数のソリューションを同時に検討するのは当然のことです。アルピーヌは、電動化と両立する別の選択肢を探したい。なぜなら電動化は、好むと好まざるとにかかわらず、少なくとも将来的には自動車全体の60~70%にまで普及するからです」

アルピーヌ・アルペングロー・コンセプト
アルピーヌ・アルペングロー・コンセプト    アルピーヌ

「残りの領域は、用途や特性、求める機能によって異なります。積載量が多く、日々の走行距離がある程度固定されているLCV(小型商用車)では、異なるソリューションを使用する余裕があると思います」

これまでのところ、アルピーヌが発表している次世代モデルは、新型ルノー5をベースにしたホットハッチ、GT-X Overと呼ばれるコンパクトクロスオーバー、A110の後継モデルの3車種のみ。いずれもBEVとなる見通しだが、ロッシCEOは水素の可能性を否定しない。

「当社の場合、燃料としての水素も解決策の1つになりうると考えています。なぜなら、燃料としてだけでなく、電気を発生させる燃料電池としても水素を使うことができるからです」

「これは素晴らしいことです。水素のエンド・ツー・エンドの産業化を電動化と両立することができるので、1つの道筋になりうると考えています」

そして彼は、水素燃焼技術のビジョンを、サーキットに特化したプロトタイプで披露する可能性まで示唆していた。それがアルペングローのことを指していたことは、今や明らかだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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