サンカンが次の映画で乗る! 日産「新型Z」カスタムカー完成 手がけたのはヴェイルサイド

公開 : 2022.11.07 05:45

次の映画でサンカンが乗る日産Z(フェアレディZ)のカスタムカーが完成。製作者の「鬼才レジェンド」を取材しました。

次の映画で新型Zにサンカンが乗る?

2020年夏に新しい日産フェアレディZのプロトタイプが発表されて2年以上が経過し、日本では2022年4月に価格が発表され今夏の発売が明らかにされた。

ロングノーズ・ショートデッキなど、伝統的なFRスポーツカーデザインは初代「フェアレディZ(S30型)」をはじめとする歴代「フェアレディZ」へのオマージュにあふれており、プロトタイプほぼそのままのスタイルで市販されたことも、世界中で高い評価を受けた。

サンカンは次の映画で新型Zに乗るという。
サンカンは次の映画で新型Zに乗るという。    VeilSide

その後、部品供給の9速ATの不具合対応などもあって一般オーナーへのデリバリーは日米ほぼ同じタイミングとなる9~10月以降に始まったが、2022年11月1日からラスベガスで開催されているSEMAショーの会場には、すでに多くのZのカスタムカーが出展されていた。

カスタムカーの製作には平均して4~6か月かかるとされるが、いち早くSEMA会場の有名パーツメーカーのブースに新型Zのカスタムモデルが並んだのは米国日産によるプロモーション活動の一貫という部分もある。

SEMAで新型Zのカスタムカーがお披露目される中、アメリカで取材を続ける筆者のもとにとあるレジェンドから2枚の写真が届いた。

写真の送り主は黒とオレンジのRX-7 Fortuneをはじめ、ワイルド・スピードに登場するあまたのムービーカーを手掛けてきたVeilSide(ヴェイルサイド)代表の横幕宏尚氏であった。

「サンカンが乗る未来のムービーカーです。まだ映画の題名は公開できないのですが」と書かれてあった。

写真のZはまさに、VeilSide流のコンプリートカーだ。

唯一無二の美しいボディラインは品格があり、そして強い存在感がある。

なお、写真のZは白を基調としたボディカラーになっているが、実際にムービーカーとして使われる車両は「オレンジと黒」になるという。

「オレンジと黒」、「VeilSide」、「サンカン」とくればもう、ここまで来たらどの映画に使われるのかお分かりの方もいらっしゃるとは思うが……一応はまだ映画名は伏せておくことにする。

図面もなし 「造形」を感じながら

横幕氏はこのモデルをどうやってつくってきたのだろうか?

「RX-7 Fortuneはもちろん、わたしがカスタムのデザインをするときは図面も絵も描きません」

「新型Zは、目が少しかわいいのでインパクトを与えるためにノーズをのばして目の部分も印影を付けたデザインにしました」と横幕氏
「新型Zは、目が少しかわいいのでインパクトを与えるためにノーズをのばして目の部分も印影を付けたデザインにしました」と横幕氏    VeilSide

「最初にやることはベースとなる車両を分解し、冷却に必要なエアーの流れを確認することです。そして、製作するダクトのサイズや位置をイメージします」

「その後、インナーフェンダーやアンダーカバーの取り付け方法や構造を確認したらそこからは、ダイレクトに手のひらで立体を感じながら削り込んでいきます。自分の感性と造形を直結させながら削り上げて完成させていきます」

なんと! 図面もスケッチもなしで頭の中でイメージした形を思い浮かべながら、ボディに直接触れて削っていく……。

VeilSideのクルマが他と一線を画した有機的なデザインを完成しているのはそこに理由があるのだろうか。

「わたしは長年、ドラッグレースや最高速のエンジンを造っていましたから車両の構造や機能性、そして強度をまず考え頭の中でデザインを組み立てます。あとはひたすら完成をイメージしながらつくっていきます。今の時代、わたしのように手のひらで創るのはレアかもしれませんね(笑)」

映画会社からは、「すべて横幕さんにお任せします」と全幅の信頼を寄せられて製作したという。

新型Zをベースにした新しいムービーカー。カスタムはどのように考えられたのか。

「やがてはエンジンチューニングも手掛ける予定ですが、今回はまずボディデザインを完成させました。新しい日産Zはエンジン性能に強い魅力がありますから強烈なスピード感と洗練された都会的イメージを融合したいと考えました」

「写真の状態ではフロントセクションはほぼ完成していますが、微変更はおこなわれますね」

「新型Zは、目が少しかわいいのでインパクトを与えるためにノーズをのばして目の部分も印影を付けたデザインにしました。グリルの開口部が狭くなるので下に開口部分を足しています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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