サンカンが次の映画で乗る! 日産「新型Z」カスタムカー完成 手がけたのはヴェイルサイド

公開 : 2022.11.07 05:45

あえてワイドフェンダーしなかったワケ

フロントセクションはほぼ完成しているというが、これからは内装の張替えなどもおこなわれる。

「黄色いクルマに赤黒の内装というのはどうかと思いますし、外装の色が変わるので当然、内装も替えないといけませんね。生地も張り替えてVeilSideのシートを入れます」

新型Zをあえてワイドフェンダーにしなかったことは、俳優のサンカン氏(右)も大絶賛だったという。
新型Zをあえてワイドフェンダーにしなかったことは、俳優のサンカン氏(右)も大絶賛だったという。    VeilSide

そして時間をかけて考えられたのがフェンダーの扱いである。

「もっとも大切に、そして時間をかけて考えたのがフェンダーのデザインです。空気抵抗が強く、スピードのイメージが損なわれるのでワイドフェンダーの選択はありませんでした」

「ノーマルフェンダーをカットすることなく片側10mmワイドに抑えています。この限られた『10mm』の中でスピード感と脈動感、力強さを表現しようと考えました」

昨今、「カスタムカーにはワイドフェンダーがお約束」のような風潮があるが、新型Zの「速い」イメージを横幕氏はあえてワイドにせず+10mmのフェンダーで表現した。

この選択にはサンカン氏も大賛成の大絶賛だったそうだ。

サンカンといえばハリウッド映画界屈指のクルマ好き俳優としても有名である。

実際、彼自身もGReddyとのプロジェクトで作られた「Fugu Z」や2021年10月のJCCS(日本旧車集会)やSEMA 2021の日産ブースでお披露目された「Doc Z」などいずれも、初代240Zをベースにした車両製作に深くかかわってきた。

「サンはとてもクルマが好きで彼と会うと、いつもカスタムの話で盛り上がります。外装、内装、チューニングパーツなど一緒になって、たくさんのディスカッションをして、彼からの要望、こちらからの提案など細部にわたって心を通じ合わせながら最高のカスタムカーをつくっていきました。お互いを尊重し、信頼関係を築くことができている、素晴らしいファミリーチームのような関係を保っています」

苦労したのは「時間」 約半年で完成

サンカン氏とのコラボを経て、新型Zをベースにした素晴らしいムービーカーが完成しつつあるわけだが、苦労した点はどのようなことだったのだろうか? 

「苦労した点といえば、時間との戦いだけですね。映画のメインカーとしてつくるわけですから、当然時間的制約が厳しいのです。また、それ以前にこのクルマは2023年1月の東京オートサロンに出展予定です」

映画で使用されたRX-7のように、新型Zもオレンジと黒のボディカラーになるとのこと。
映画で使用されたRX-7のように、新型Zもオレンジと黒のボディカラーになるとのこと。    VeilSide

「時系列でいうと、サンカンと話をスタートしたのが2022年7月末。製作が始まったのが9月初旬。お送りした写真は10月中旬の状態で、マスター製作途中です」

「マスター完成は11月10日予定。型の製作、製品完成が12月中旬予定。そして、内装、塗装、マフラーやサスペンション、エンジン関係は1月初旬予定。トータルの製作期間が約4か月ちょっと、ですね」

「ですが、そのような厳しい制約の中での製作もまたチャレンジ心を掻き立てられています。新型Zはカスタムのベース車両としても非常に魅力的でした。創りながらスポーツカーを感じさせる本当に優秀でほかにない素晴らしいデザインですね」

前述したとおり、完成形はボディカラーがオレンジと黒になる。塗分けのベストな比率を決めるのもなかなか大変な作業になりそうだ。

オレンジと黒の新型Zが映画の中で見られるのはもう少し先になりそうだが、来年1月の東京オートサロンでは実車が公開される予定。

映画の公開も実車の公開もパンデミックや国際的な紛争などで延期されることがないよう願うばかりだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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