輸入されない日本の宝石 日産Z トヨタGRカローラ スバルWRX 英国人が羨む1番は? 前編

公開 : 2023.09.09 20:25

英国へは正規導入されていない、日本のスポーツモデル。事情の違うカナダで、英国編集部がその魅力を確かめました。

英国には正規導入されない日本車3台

カナダの紙幣には、故エリザベス2世の肖像画が描かれている。西海岸にはブリティッシュ・コロンビア州という自治体もある。だが、この土地を走るクルマは、グレートブリテン島の道を走るそれとは大きく異なる。

アメリカと同じく、ピックアップトラックやSUVがファミリーカーとして活躍している。英国には正規導入されていない日本車も、数多く走っている。左ハンドルだが。

イエローの日産Z スポーツと、ブラックのトヨタGRカローラ・コア、ブルーのスバルWRXに筆者のスバルBRZ
イエローの日産Z スポーツと、ブラックのトヨタGRカローラ・コア、ブルーのスバルWRXに筆者のスバルBRZ

例えば、トヨタGRカローラ。カナダ市場ではGRヤリスが売られていないため、その穴を埋めるホットハッチだ。実用的な5ドア・ハッチバックのボディに、ホモロゲーション・モデルへ通じるような精神が盛り込まれている。

ノーマルのカローラも、カナダでは評価が高い。そこへ300psの1.6L 3気筒ターボエンジンと、トルク分配率を選べる四輪駆動システムが融合している。この事実だけでも、面白いクルマであろうことは想像に難くない。

ありがたいことに、スバルはインプレッサ WRXの後継モデル、WRX(WRX S4)をカナダで販売している。1990年代のラリーで大暴れした子孫が、モダンなファミリーサルーンへ進化し生き残っている。

ボンネットには大きなエアスクープが載り、その下には水平対向4気筒ターボエンジン。ラリードライバー、コリン・マクレーやリチャード・バーンズの勇姿が想起される、ワールドラリー・ブルー塗装も用意されている。

四輪駆動システムの能力を最大限に発揮させるべく、6速MTもカナダ仕様には設定される。日常的な使い勝手を求めて、チェーン駆動のCVTも選べる。

ノスタルジックな気持ちへ応える「Z」

日産の象徴的なクーペも、グレートブリテン島には導入されていない1台だ。最新版は、カナダではシンプルにZを名乗る。新世代へモデルチェンジしたわけではなく、先代の大改良版だが、スタイリングは見違えた。

2997ccのV型6気筒ツインターボ・エンジンは、日産の上級ブランド、インフィニティ譲り。車重は1590kgと軽くないが、最高出力は400psもある。

日産Z スポーツ(フェアレディZ/カナダ仕様)
日産Z スポーツ(フェアレディZ/カナダ仕様)

トヨタは、新しいスープラを開発するに当たり、BMWへ協力を仰いだ。だが日産は、自社で完結させた。悪くない判断だったと思う。

この3台が、直接的なライバルとして比べられることはないだろう。それでも、スリリングなドライビング体験を享受できる、現在では貴重なモデルに数えられる。英国人が羨むような、禁断の果実といえる存在なのか、今回は確かめてみよう。

日本がバブル景気に湧いていた時代から、30年が過ぎた。その時に生まれた、ツインターボエンジンのFD型マツダRX-7やA80型トヨタ・スープラは、特別なクラシックカーになってしまった。

そんなノスタルジックな気持ちに応えてくれるのが、日産のZ。ショートデッキのシルエットや上下2段のテールライトが与えられた、Z32型300ZXの子孫といえる。

初代のS30型240Zは、手頃なサルーンと同等の金額で販売され、北米市場では大ヒットを記録した。それに憧れるファンが、ターゲットなのかもしれない。最新版は、V8エンジンのフォードマスタングへ並ぶ価格だけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

輸入されない日本の宝石 日産Z トヨタGRカローラ スバルWRX 英国人が羨む1番は?の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事