欧州安全テストで「満点」続出 スバル・ソルテラ、日産アリアなど15車種に5つ星評価

公開 : 2022.11.17 20:45

欧州で実施される安全テスト、ユーロNCAPにおいてスバルや日産、テスラなど15車種が最高評価の5つ星を獲得しました。

欧州向け15車種に最高評価

欧州で自動車安全テストを実施しているユーロNCAPは、最新のテスト結果を発表した。ホンダシビックテスラモデルSランドローバーレンジローバーなど15車種が5つ星の最高評価を獲得した。

テスラ・モデルSは、成人乗員保護で94%、子供乗員保護で91%、交通弱者保護で85%と、軒並み高得点を獲得している。また、安全支援システムについてもほぼ満点の98%となっている。

ユーロNCAPで側面衝突テストを受けるホンダ・シビック
ユーロNCAPで側面衝突テストを受けるホンダ・シビック    ユーロNCAP

ランドローバーの新型レンジローバーは、成人乗員保護で84%、子供乗員保護で87%、安全システムで82%を達成したが、交通弱者保護は72%だった。一方、新型レンジローバー・スポーツも5つ星を獲得したが、交通弱者に対するスコアは68%とやや低めだった。

ヒョンデの新型EVであるアイオニック6は、成人乗員保護で97%を記録し、テスラ・モデルYが保持する最高得点に並んだ。子供乗員についても87%と高評価を得たが、交通弱者については66%で、それほど高いものではなかった。安全支援については90%を獲得している。

スバルソルテラ(兄弟車のトヨタbZ4Xと結果を共有)は、成人乗員保護で88%、子供乗員保護で87%、交通弱者保護で79%、安全支援で91%という素晴らしいスコアを獲得した。

また、中国車も好調で、ニオET7、ウェイ・コーヒー02、スマート#1などの新型EVが軒並み5つ星を獲得。メルセデスとジーリーの合弁会社であるスマートの#1は、成人保護において96%と非常に高いスコアを獲得した。

一方、ホンダ・シビックは成人乗員保護で89%、子供乗員保護で87%、交通弱者保護で82%、安全支援で83%と、4つのカテゴリーそれぞれで80%を大きく上回るスコアを達成している。

その他、日産アリア、トヨタ・カローラクロス、いすゞDマックス、ルノー・オーストラルなど多くの車種が5つ星評価を受け、今回のテストでは満点が続出している。

今回は16車種がテストを受けたが、唯一満点を獲得できなかったのがDS 9だ。それでも、子供乗員保護などが高く評価され、4つ星を与えられている。

ユーロNCAPはこのDS 9について、フロント部分が「他の車両に対して攻撃的な衝撃(aggressive impact)を与える」ため、ペナルティを受けたと述べている。

来年からさらにハイレベルなテストに

ユーロNCAPの事務局長であるミヒャエル・ヴァン・ラティンゲン氏は、次のようにコメントしている。

「来年はテストプロトコルがもっと厳しくなり、車両開発における課題が増えることが見込まれます。そのため、メーカーは今年のテストで良いスコアを出すことを強く望んでいます」

ユーロNCAPで前面衝突テストを受けるホンダ・シビック
ユーロNCAPで前面衝突テストを受けるホンダ・シビック    ユーロNCAP

「2023年、ユーロNCAPは『ビジョン2030』に沿って、さまざまな側面に焦点を当てます。例えば、二輪車の自動緊急ブレーキ用のプロトコルや、歩行者・自転車のパッシブセーフティにおける新しいシナリオを導入し、これらの交通弱者が自動車と相互作用する可能性のある領域を拡大します」

このようにユーロNCAPは、2023年に評価基準を厳しくするとともに、自動車メーカーに対して他の道路利用者への配慮を求めるようプレッシャーをかけていく。欧州市場で販売される車種においては、さらなる開発努力が求められることになる。

「ユーロNCAPは、メーカーと密接に協力して、自動車の安全性能向上のための枠組み作りに熱心に取り組んでいます」と、ラティンゲン事務局長は付け加える。

「しかし、メーカーが安全性評価の6年間の有効期間(ユーロNCAPの評価は6年間有効とされる)を、単に消費者を満足させるための戦略的な商機として利用しないことが重要です。メーカーは、安全性の向上に真摯に取り組んでいることを示さなければなりません」

各車種のテスト結果の詳細や動画は、ユーロNCAPの公式サイトで確認できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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