目的地は北の果て ポールスター2でシェトランド諸島へ 上品なEVホットハッチ 前編

公開 : 2022.12.24 09:45

グレートブリテン島から約170km北のシェトランド諸島。再生可能エネルギー開発が進む小さな島を、英編集部がEVで巡りました。

クリーンでジェントルなポールスター2

「地球は丸いですが、その最果てをここから見られますよ」。案内役のスタッフが冗談で笑わせる。ある意味本当かもしれない。筆者が今いるのは、ロンドンより遥か北のシェトランド諸島の端。北極圏までもさほど遠くはない。

今から24時間前、フォトグラファーのマックス・エドレストンとグレートブリテン島の北東部に位置する、エディンバラで落ち合った。北を目指しドライブするために。

ポールスター2(英国仕様)
ポールスター2(英国仕様)

今回選んだクルマは、バッテリーEV(BEV)のポールスター2。英語で北極星を意味する単語をブランド名とする、ボルボと親戚関係にある自動車メーカーのクロスオーバーだ。北極星は航海の時の指標にもなる、北の天極へ近い恒星なことはご存知だろう。

グレードは1番ベーシックなもの。最高出力231psの駆動用モーターをフロントに1基搭載し、前輪を駆動する。航続距離は最長477kmがうたわれる。最高速度は160kmに制限されているが、実用モデルとしてまったく不足はない。

少し運転して、回生ブレーキの効きの強さとステアリングホイールの重み付けは、中間の設定が筆者の好みだと確認した。停まった状態でブレーキペダルを放すと、一般的なAT車のようにゆっくりクリープ走行もする。

エディンバラの北、フォース湾に掛かる壮観なクイーンズフェリー・クロッシング橋を越えると、ポールスター2の馴染みやすさが伝わってくる。高速道路を、しずしずとマナー良く進んでいく。クリーンでジェントルだ。

中世風の町並みと鮮明なコントラスト

このままグレートブリテン島の最北、ダン岬を目指してもいいが、今回の計画はもっとシリアス。港町のアバディーンから、先出のシェトランド諸島を目指す。ポールスター2で北極星へ接近するべく。

その前に最寄りのポルシェ・センターへ立ち寄り、一般に開放されているDC充電器へつなぐ。シェトランド諸島では、確実に充電できる保証はない。ノースリンク・フェリー乗り場へは、駆動用バッテリーの充電量が99%の状態で到着できた。

ポールスター2で巡ったシェトランド諸島の自動車旅の様子
ポールスター2で巡ったシェトランド諸島の自動車旅の様子

巨大なゲートが開き、全長125mのMVフロシー丸へ乗船する。観光だけでなく、産業面でも需要な役割を持つ航路を結ぶ船で、600名の乗客と140台の車両を運搬できる。

ポールスター2は下のデッキに誘導された。客室は小さいもののツインルーム。夕食の合間にも、船は北海の北上を止めることはない。見知らぬ客同士でも、同じ目的地を目指す仲間という気持ちが湧いてくる。

デッキへ出ると、木星が南東で輝いていた。スマホのアプリで、星の位置を確認する。北極星の方向は雲で見えない。

北海はありがたいことに穏やかだったが、波による揺れは夜通し感じた。翌朝、シェトランド諸島で唯一の街と呼べる、人口7000人ほどのラーウィックに到着。午前8時、ポールスター2は古い市街地の間を静かに進む。

海へ背を向けた石造りの建物が、肩を寄せ合うように並んでいる。中世のようなランドスケープと、洗練されたスタイリングのポールスター2は対照的。鮮明なコントラストを生んでいる。

記事に関わった人々

  • マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • リチャード・ウェバー

    Richard Webber

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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