ルノー・グループ「もう後戻りはしない」 1台あたりの利益率、過去最高記録 さらなる成長へ

公開 : 2023.02.17 06:25

フランスの巨人、ルノー・グループは昨年の収益性が急上昇したことを受けて「後戻りはしない」と強気の姿勢を示しています。ロシア事業撤退で損失はあったものの、1台あたりの営業利益率が過去最高を記録しています。

ロシア事業撤退で損失も、利益率アップ

ルノー・グループが2022年、1台あたりの営業利益率が過去最高を記録したことについて、同社のルカ・デ・メオCEOは「後戻りすることはない(No turning back)」と述べた。

2022年中の売上高は、前年比11.4%増の464億ユーロ(6兆6480億円)となった。営業利益は26億ユーロ(約3700億円)で、前年比14億ユーロ(約2000億円)増となった。

ルノー・アルカナなど新型車の投入も販売を支えた。
ルノー・アルカナなど新型車の投入も販売を支えた。

アフトワズ株67.69%の売却をはじめ、ロシア事業の撤退で23億ユーロ(約2860億円)の損失を出したにもかかわらず、このような結果となった。

デ・メオCEOは次のように述べた。「2022年は、約束を十二分に果たすことができました。当初の目標や市場の期待を上回る結果を出し、(ルノーリューション戦略における)『復活』フェーズを予定より3年早く完了させることができました」

「この業績は、ロシア事業売却、半導体危機、コストインフレという強い逆風に直面しながらも、ルノー・グループのチームのエネルギーと努力の結果です」

「ルノー・グループのファンダメンタルズは徹底的にクリーンアップされ、もう後戻りすることはないでしょう」

同社は好調の要因として、ルノー・アルカナ、ルノー・メガーヌEテック・エレクトリック、ダチア・ジョガーといった新型車の発売に支えられた強力な製品構成を挙げている。

メガーヌは欧州全体で3万3000台、ジョガーは5万7000台、アルカナは8万6000台の販売を記録した。スポーツカーブランドのアルピーヌも、3546台のA110を販売し、過去最高の販売台数を記録している。

このような需要により、ルノー・グループの受注台数は現在、過去最大となっている。

ルノー・グループは、電動化も進めている。ルノーのハイブリッド車およびEV(電気自動車)は、欧州販売全体の39%を占め、クロスオーバーのアルカナでは65%に達した。

昨年夏に発売されたメガーヌEテック・エレクトリックは、今年下半期にフランスで最も売れたEVとなった。

ルノー・グループは業績回復を踏まえて、2023年の営業利益率を昨年の5.6%から6%に伸ばすことを目標としている。また、自動車事業のフリーキャッシュフローは、昨年21億ユーロ(約3000億円)に増加したことから、20億ユーロ(約2865億円)以上を維持することを目標とする。

さらに、日産自動車との提携関係を再構築し、日産への出資比率を43%から15%に引き下げる。一方、日産はルノーの電動化部門であるアンペール(アンペア)に最大15%を出資する予定だ。ルノーは決算発表で、アライアンスパートナーの三菱自動車も同部門への出資を検討していると述べた。

ルノーは、アンペールの株式公開は早ければ2023年後半に実施される可能性があるとしている。

また、欧州、インド、中南米で新たな価値創造プロジェクトに着手する。ルノーと日産は今週、インドに6億ドル(約800億円)を投資し、6つの新型車を同地域に投入すると発表した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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