ラダーフレームにBMWエンジン イネオス・グレナディアへ試乗 目標は最高のオフローダー 前編

公開 : 2023.02.17 08:25

先代ディフェンダーの最新版が目指されたグレナディア。クラシカルな見た目にラダーフレームのオフローダーを、英編集部が評価しました。

目指したのは最新版の先代ディフェンダー

オマージュと呼ぶべきか、コピーと呼ぶべきか。大変革期にある自動車業界にあって、あえて新しくないことに取り組む姿勢は新鮮ですらある。最近のニューモデルとは大きく異なる成り立ちに、思わず頬が緩む。

ラダーフレームに載った四角いボディ。軽油を燃料にする直列6気筒エンジン。リジットアクスルと、ボールナット式のステアリングラック。イネオス・グレナディアは、古いジープラングラートヨタランドクルーザーのファンにも、強く響くはず。

イネオス・グレナディア・ステーションワゴン 3.0TD トレイルマスター・エディション(英国仕様)
イネオス・グレナディア・ステーションワゴン 3.0TD トレイルマスター・エディション(英国仕様)

より強力で、より快適であることを多くのモデルが求める中にあって、グレナディアは独自の路線が目指された。最高のオフローダーとして、最新版の先代ランドローバー・ディフェンダーになることだ。

このモデルの開発が明るみになった瞬間から、オリジナルのディフェンダーのオーナーやファンから、様々な意見が寄せられたという。称賛するものもあれば、非難するものもあった。

イネオス・オートモーティブは、当初は初代ディフェンダーの生産設備の取得を目指していたが、ランドローバーとの交渉を進めるなかで一転。最終的には法的な異議申し立てを受けることになり、象徴的なスタイリングの復活は叶わなかった。

それでも、英国製オフローダーのアイコンと、遠くは違わないスタイリングに落ち着いている。メルセデス・ベンツGクラスとも遠からず、リアエンドでは古いランドクルーザーの雰囲気も放っている。

メカっぽさがたまらないインテリア

開発にまつわる裏話は尽きない。これまでに投じられた予算は、13億ポンド(2080億円)を超えるという。街角のパブで意気投合した、数名のクルマ好きの億万長者が夢見たオフローダーが、完成形として姿を表した。

どんな仕上がりなのか、自ずと興味が湧く。果たして、質実剛健で快適性に優れ、実用性も高い。同時に、多少の妥協もなくはない。

イネオス・グレナディア・ステーションワゴン 3.0TD トレイルマスター・エディション(英国仕様)
イネオス・グレナディア・ステーションワゴン 3.0TD トレイルマスター・エディション(英国仕様)

ドアを開くと、大きなセンターコンソールが存在感を示す。インフォテインメント・システム用のロータリーコントローラーとスイッチ、カップホルダー、シフトレバー、四輪駆動のハイレンジとローレンジの切り替えレバーが並んでいる。

垂直に切り立ったダッシュボードでは、13個のボタンが3段に整列している。コンパスを挟んで、エアコンの送風口が2つ。その上にはワイドなタッチモニターが光る。目線を上げると、天井側にデフロック用など21個のスイッチがずらりと並んでいる。

うっかりスイッチを押さないよう、クロームメッキのガードが左右を固める。ちょっと賑やかだが、メカっぽさがたまらない。ナビは社外の既製品を用いているようだが、ロータリー・コントローラーかタッチモニターで操作できるため、使い勝手は良好だ。

スイッチの一部は軽く押せ、手袋をはめたままでも操作しやすい。押し応えの重いものもある。それぞれ機能が記されており、時間を掛ければ理解できるだろう。スマートフォンのホルダーも、最初から付いている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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