4WDの発展に貢献 レンジローバー スバル・レオーネ アウディ・クワトロほか 四輪駆動の傑作25選 中編

公開 : 2023.04.29 07:06

今では小型車にも設定される四輪駆動。SUVも人気車種の1つです。英編集部が技術進化に貢献した傑作25台をご紹介します。

1958年:シトロエン2CV サハラ

シトロエンは、頑丈で簡素な四輪駆動モデルを開発し、アフリカで販売数を稼ぎたいと考えていた。予算に余裕がある、石油業界や鉱物業界へ受け入れられると考えた。

いくつかのアイデアが試されたが、実際に生産へ至ったのが2CV サハラ。フロント側と同様に、リア側にもエンジンとトランスミッションを搭載し、四輪駆動を実現するという、驚きの内容だった。

1958年:シトロエン2CV サハラ
1958年:シトロエン2CV サハラ

エンジンが2基載っていても、軽いシャシーのおかげで悪路性能は高かった。しかし2CV サハラは支持を集められず、694台の生産に留まっている。リアエンジンをタイヤから切り離しても、最高速度が56km/hに留まったことが原因の1つだろう。

1961年:ファーガソン99

ファーガソン・リサーチ社は、スポーツカーにおける四輪駆動システムのパイオニアだ。レーシングカーの99は、その最たる作品といっていい。F1マシンとして、フロントエンジンの四輪駆動を採用した初めてのモデルだった。

シャシー前方へ斜めに載ったエンジンからドライブシャフトが後方へ伸び、ドライバーはそれを避けるようにオフセットした位置に座った。レギュレーションの変更に伴い、思い描いたような活躍は残せていないが。

1961年:ファーガソン99
1961年:ファーガソン99

それでも、伝説的レーシングドライバーのスターリング・モス氏によって、1961年のオールトンパーク・インターナショナル・ゴールドカップへ参戦。勝利をもぎ取っている。このレースは、シーズン・チャンピオンを掛けたイベントではなかったけれど。

1962年:ジープ・ワゴニア

ランドローバーレンジローバーが発売される8年前、ジープはラグジュアリーな四輪駆動モデルという、画期的なコンセプトを量産車へ落とし込んだ。そのワゴニアは、現在の高級SUVの先駆けといえるだろう。

ステーションワゴンのボディに豪華なインテリアを備え、四輪駆動のドライブトレインを搭載。後輪駆動へ切り替えることも可能としていた。シャシーとサスペンションは、質実なピックアップトラック用ではあったが。

1962年:ジープ・ワゴニア
1962年:ジープ・ワゴニア

サルーンのリアを伸ばしたステーションワゴンほどの快適性はなかったものの、実用性と豪華さという組み合わせは、ドライバーのライフスタイルを刺激。オリジナルのデザインへ手を加えながら、1991年まで初代ワゴニアの生産は続いている。

1966年:ジェンセンFF

英国のジェンセンはファーガソンと手を組み、2ドアクーペのインターセプターを高性能な四輪駆動モデルへコンバージョン。FFとして販売した。

このFFという名称は、ファーガソン・フォーミュラ4x4の頭文字。トランスミッションの横にトランスファーを搭載し、フロントアクスル側へ駆動力を伝達していた。

1966年:ジェンセンFF
1966年:ジェンセンFF

通常のインターセプターとの見た目の違いは、長いホイールベースと、2本のサイド・エアアウトレット、ボンネットのエアインテークなど。エンジンは同じクライスラー由来のV型8気筒が載っていた。

意欲的なクーペといえたものの、製造数は320台に留まった。トランスファーの位置が原因で、北米市場向けの左ハンドル仕様を作れなかったことが大きな影を落とした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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