一気に存在感を高める可能性 シャオペンG9 AWDへ試乗 2340kgを軽々と動かす550ps

公開 : 2023.06.23 08:25

欧州市場での展開をスタートさせた中国のシャオペン。その旗振り役となるSUVを、英国編集部が評価しました。

海外進出に意欲的な新興のシャオペン

メルセデス・ベンツアウディといった定評ある上級ブランドと、肩を並べたいと考える中国のシャオペン。まだ耳馴染みの薄い自動車メーカーだと思うが、ソフトウエアやテクノロジーを強みに掲げ、欧州市場での本格的な展開へ一歩を踏み出した。

先日ご紹介した中型サルーンのP7と同時に、この土地へ先発としてやってくるのが大型SUVのG9。当初からグローバルモデルとしてデザインされており、実際に試乗してみると、なるほどと、うなってしまう水準に仕上がっている。

シャオペンG9 AWDパフォーマンス(欧州仕様)
シャオペンG9 AWDパフォーマンス(欧州仕様)

シャオペンというブランド名は、フ・シャオパン(何小鵬)氏という創業者の名前が由来で、2018年から量産車の生産をスタートさせた。G9は同社としては4番目の量産モデルに当たり、さらに新しいプラットフォームをベースにしたG6も発表されている。

急速に成長している企業の1社ではあるが、巨大な中国市場のバッテリーEV(BEV)メーカーとしては、規模は小さめ。それでも、海外進出にはかなり意欲的な1社だといっていい。

2021年にノルウェーで販売をスタートさせ、2023年にはネザーランド(オランダ)やデンマーク、スウェーデンでも提供が始まる。英国市場への上陸も明らかになっているが、時期はまだ決まっていないそうだ。

歴史の浅さを感じさせないインテリア

G9が基礎骨格としているのは、P7と同じエドワード・アーキテクチャ。駆動用バッテリーがフロア部分に敷き詰められた、スケートボード構造で設計されている。

ボディサイズは全長が4891mm、全幅が1937mm、全高が1680mmで、メルセデス・ベンツEQE SUVより僅かに大きく、テスラモデルXよりは小さい。丸みを帯びたスムーズなスタイリングで、大柄なボディを優しく見せている。

シャオペンG9 AWDパフォーマンス(欧州仕様)
シャオペンG9 AWDパフォーマンス(欧州仕様)

ドアを開くと、ドイツの老舗プレミアム・ブランドに引けを取らない、上質な雰囲気に驚かされる。2018年に量産車を生産し始めたという、歴史の浅さを感じさせないといっても過言ではない。

試乗車は、プレミアム・コンフォートとオーディオという2つのオプション・パッケージを装備。通常のG9より内容は充実していた。

ナッパレザー仕上げのシートには、温度調整に加えてマッサージ機能を内蔵。リアシートはほぼフラットにリクライニング可能で、ドルビー・アトモスに対応したオーディオが美音を奏でる。

ダッシュボードには、運転席正面のメーター用に1面と、インフォテイメント用に2面、合計3面のモニターが並ぶ。テスラのように、基本的に車載機能はタッチモニター上で操作することになり、実際に押せるハードスイッチは殆どない。

インフォテインメント・システムのメニューは直感的に操作しやすいものの、ドライブモードや回生ブレーキの選択にはメニューを2回掘り下げる必要があり、少々手間に感じた。アップル・カープレイとアンドロイド・オートには非対応だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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