頂点級SUVを体験! メルセデス・ベンツEQS SUV 3t級・3列シートの高級EVは「あざとさ抜き」の走りが魅力

公開 : 2023.06.23 12:50

メルセデス・ベンツ「EQS SUV」をテスト。7人乗りの電気自動車の走りを検証します。2列目シートはファーストクラスの出来栄え。

未来感よりも実用面 EVの7人乗りSUV

セダンとSUVのどちらが斬新、あるいは時代をリードしているように見えるか問われたなら、多くのドライバーは「SUV」と答えると思われる。

一時の勢いは失ったとは言え、未だ上り調子のカテゴリーであり、比較すればセダンは保守的で古臭くも思えるだろう。

メルセデス・ベンツEQS 450 4マティックSUV(ダイヤモンドホワイト/1542万円)
メルセデス・ベンツEQS 450 4マティックSUV(ダイヤモンドホワイト/1542万円)    宮澤佳久

ただ、「EQS SUV」とセダンの「EQS」の外観の印象は異なっている。EQS SUVのほうがコンサバに感じられた。

一足先に登場したEQSは未来型Sクラスというべきモデルであり、低全高にワンモーションフォルムのBEVならではのプロポーションやスタイルは如何にも未来的。

一方、EQS SUVは高いベルトラインでキャビン周りのデザインもSUVでは標準の範疇である。SUVらしくはあるが、それ故に斬新な印象もない。

ただし、よく見ればEQS同様に“ちょっと妙”なのもEQS SUVだ。

やたらボンネット長が短い。プロポーションからすればEQAEQBよりも短い。

超ショートノーズ/ロングキャビンはBEV専用プラットフォームの賜であり、そこに頂点クラスSUVに相応な「実用性」や「寛ぎ」を加えた結果の外観と言える。そのSUVとしての実用性は、EQS SUVを語る上で要点と思っていい。

1列目・2列目シート 内装をチェック

SUVの実用面のメリットの1つは、高い全高を活かしたキャビンスペース。

高い座面高のアップライトな着座姿勢と合わせればレッグスペースにゆとりが出るし、見晴らしも良くなる。そういった実用面の基本をしっかり押さえているのがEQS SUVのキャビンである。

EQS 450 4マティックSUVの前席(内装色:マキアートベージュ/スペースグレー ナッパレザー)
EQS 450 4マティックSUVの前席(内装色:マキアートベージュ/スペースグレー ナッパレザー)    宮澤佳久

後席(セカンド)は厚く腰の利いたクッションであり、よく言う「ファーストクラス」の出来。前席バックレスト背面には後席用DA(ディスプレイオーディオ)システムが備わる。

付け加えるならセンターアームレストのコントロールパッドはタッチセンサー式であり、取り外してハンドヘルド端末としても使える。寛ぎとエンタメを最高レベルで両立したパーソナルスペースである。

開発コンセプトではVIPカー、つまりショーファードリブンでの用途も考慮されているとのことだが、説明されなくても後席で少しの時間を過ごしただけで容易に理解できた。

ならば前席が蔑ろにされているか?

そんな事があろうはずもなく、乗用車の“次の時代を予感させる情報”と機能に優れたグラスコクピットを構成し、助手席にはドライバーによそ見させない工夫がされたDAシステムも装備。助手席もまたファーストクラスの設えだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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