シンプル・イズ・ベストを体現する名車 20選 質素で安くて魅力いっぱいのクルマ

公開 : 2023.08.27 18:05

クルマがどんどん複雑化していくのは、世の必然なのかもしれません。そんな今こそ、シンプルに作られた素晴らしいクルマに目を向けたいところ。「引き算の美学」を体現する名車をいくつか紹介します。

引き算の美学

シンプルさが「洗練」の究極の形だとすれば、メルセデス・ベンツSクラスはむしろグロテスクに思えるかもしれない。

技術力の高さをセールスポイントにするメーカーがある一方で、「シンプル・イズ・ベスト」を証明しようと努力してきたメーカーもある。第二次世界大戦直後は、クルマをシンプルに仕上げることで、できるだけ多くの人に手頃な価格で買ってもらえるようにすることが多かった。

戦後に作られたシンプルな名車を取り上げる。
戦後に作られたシンプルな名車を取り上げる。

その後、クルマはどんどん複雑化し、機能と部品が増えて高度化しつつある。その反動というべきか、現代においてはシンプルさが評価されることが多くなった。シンプルなものが持つ質素な感触、いさぎよさ、無駄のない美しさのようなものが人々を惹きつけるのだろう。

今回は、チープな大衆車からエキサイティングなスポーツカーまで、戦後に作られたシンプルな名車をいくつか紹介したい。

シトロエン2CV(1948年)

シトロエンは、2CVを可能な限り安価でベーシックなものにするために、かなりのエネルギーを注いだ。ミシュランの重役で、1938年にシトロエンの社長に就任したピエール=ジュール・ブーランジェ(1885-1950)は、エンジニアたちに4人乗りの自転車を作らなければならないと言った。「自転車、オートバイ、馬車に代わるものだ」と彼は書いている。このガイドラインから2CVの前身となるTPVが形作られたが、第2次世界大戦のため発売直前に中止となった。

戦後、1948年に発売された2CVは、最高出力9psのフラットツインエンジン、フロントガラスからリアバンパーまで伸びるキャンバストップ、跳ね上げ式のフロントウィンドウを備えていた。当時、フランスの法律では、方向指示器の代わりにドライバーは腕を出して合図する必要があり、安上がりな二つ折り式の側面窓が装備されることになった。2CVには最終的に方向指示器が導入されたが、1990年までこの窓は維持された。ちなみに、フロントグリルに開いている穴は、必要に応じてスターティング・ハンドルを差し込むためのものである。

シトロエン2CV(1948年)
シトロエン2CV(1948年)

シボレーコルベット(初代、1953年)

シボレーの初代コルベットは希少で、美しく、貴重だが、非常にシンプルだ。グラスファイバー製のボディには当初、シボレーがピックアップトラックなどさまざまなモデルに長年使用してきた「ブルーフレイム」直6エンジンが搭載されている。このエンジンと2速オートマチック・トランスミッションはセットであった。シボレーは生産後期にV8とマニュアル・トランスミッションを追加した。

シボレー・コルベット(初代、1953年)
シボレー・コルベット(初代、1953年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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