マイルドHVの新6気筒獲得 BMW X5 xドライブ30dへ試乗 4代目がフェイスリフト

公開 : 2023.08.24 08:25

BMWの主要な収益源の1つ、X5がフェイスリフト。マイルドHVの新エンジンを搭載した30dを、英国編集部が評価しました。

マイルドHVの新6気筒エンジンを獲得

近年のBMWにとって、バッテリーEVが主要な投資対象であることは間違いないだろう。しかし、ブランドの起源といえる内燃エンジンを搭載したモデルが、未だに主要な収益源であることも間違いない。

SUVが主力モデルなことも事実。2018年に発表された4代目X5へ、丁寧なフェイスリフトが施されたとしても不思議ではない。

BMW X5 xドライブ30d(欧州仕様)
BMW X5 xドライブ30d(欧州仕様)

とはいえ、化石燃料を燃やす量は少ない方が良い。そこで、マイルド・ハイブリッドを採用した新しいエンジンが搭載された。今回試乗した、X5 xドライブ30dのフロントに載る3.0L直列6気筒ディーゼルターボも、その1つだ。

最高出力286ps、最大トルク66.1kg-mという数字に変化はない。しかしアルミではなくスチール製のピストンが組まれ、新しい燃料噴射システムとオイル循環システムを採用。電圧48Vで稼働する、スタータージェネレーター(ISG)が、8速ATに追加されている。

特にエコプロ・モードを選択すると、軽負荷時には積極的にエンジンが停止。惰性走行させることで、好燃費へ結びつけている。

カタログ上の燃費は10.2-11.7km/Lで、驚くほどの数字ではないものの、燃料タンクは80Lと大きく、1度の給油で900km前後走れる計算になる。これは、遥かに価格帯の高いバッテリーEV、BMW iXが主張する航続距離の約2倍といえる。

カーブを描く大きなモニターパネル

フェイスリフトということで、スタイリングにも手が加えられている。ヘッドライトやテールライト、前後のバンパー、アルミホイールなど、定番要素のデザインは一新。フロントグリルには、イルミネーションもオプションで用意された。

英国仕様の場合、xラインと呼ばれるトリムグレードが標準。オプションでMスポーツが用意され、迫力の増したバンパーが与えられる。同時に、アルミホイールは20インチへ拡大される。

BMW X5 xドライブ30d(欧州仕様)
BMW X5 xドライブ30d(欧州仕様)

インテリアでは、最新のX7と同じく、カーブを描く大きなモニターパネルが新しいダッシュボード上で存在感を示す。メーター用は12.3インチ、インフォテインメント用は14.9インチと大きく、最新のiドライブ・システム、バージョン8が稼働する。

スマートフォンとの連携機能も向上。英国仕様では5G回線のeSIMが内蔵され、コネクティビティにも対応する。エアコンの操作パネルは、タッチモニター側へ統合された。

内装には高級感のある素材が用いられ、プレミアムSUVであることを実感させる。基本的なデザインは変わらないものの、触感も良くなった。また、LEDによるアンビエントライトが各部に内蔵されている。

オプションで特筆すべきアイテムが、拡張現実表示に対応したヘッドアップ・ディスプレイと、間接照明付きのパノラミック・ガラスサンルーフ、バウワース&ウィルキンス社の高音質オーディオ。主要なノブやボタンを、ガラスに置き換えることもできる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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