クルマの聖地ニュルブルクリンク 市販車最速記録 「緑の悪魔」に挑んだ公道最速のマシン

公開 : 2023.09.30 18:05

・ドイツのニュルブルクリンク・サーキットはクルマの「聖地」として知られる。
・世界中のクルマが足腰を鍛えるため、またラップタイムの記録を競うため訪れる。
・市販車カテゴリーで圧倒的なタイムを叩き出した14台を紹介。

世界中からクルマが集まる「聖地」

リマック・ネヴェーラが8月18日、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)における市販EVのラップレコードを更新し、7分05秒298という驚異的なタイムを記録した。

「緑の地獄」と呼ばれる全長約20kmのニュルブルクリンクで7分に迫るタイムを記録したことは、どのメーカーにとっても快挙である。市販EVの世界最速ラップを叩き出したネヴェーラは、リマックの技術力を世界に示したと言えるだろう。

複数回に分けて、各カテゴリーの最速マシンを紹介していく。
複数回に分けて、各カテゴリーの最速マシンを紹介していく。

記録挑戦走行でステアリングを握ったのはクロアチア人のレーシングドライバー、マルティン・コドリク氏で、これまでの市販EVの記録(テスラモデルSトラックパックの7分25秒231)を20秒更新した。

ニュルブルクリンクというサーキットは、マシンのどの部分が、どのように機能しているか、そしてどこを改善する必要があるかについて、比類ない洞察を与えてくれる。そのため、ニュルブルクリンクのラップレコードは自動車メーカーにとってある種の栄誉であり、「最速」の栄冠を目指して何年もかけてマシンを磨いてきたメーカーもある。

ラップタイムは車両のタイプごとに分類されている。この特集では、主要カテゴリーにおける最速ラップタイムを紹介していきたい。まずは市販車部門(本記事)から取り上げ、前輪駆動車、四輪駆動車、後輪駆動車、EV、そしてカテゴリー不問の順に触れていく。

1点、2019年から「公式」のコース全長が長くなったという点には注意したい。それ以前はコース最後の短いストレート区間「T13」が事実上省かれており、全長20.6kmでタイムが記録されてきた。しかし、現在は232m長い全長20.832kmとして記録されている。その違いの一例として、ポルシェ911 GT2 RSの記録(後述)は旧基準では6分38秒835となる。

市販車部門:1 – メルセデスAMGワン – 6:35:18

まずは、市販車として最速記録を達成したマシンを紹介しよう。

メルセデスAMGワンは、ニュルブルクリンクの公道走行可能な市販車最速ラップを更新し、それまでの記録を10秒近く縮めた。

1 - メルセデスAMGワン
1 – メルセデスAMGワン

10月28日にDTMドライバーのマロ・エンゲル氏がドライブし、156コーナーからなる北コースで6分35秒183を記録した。このラップタイムは、スーパースポーツカー部門の最速記録でもある。

「公道を走るF1マシン」と称されるワンは、メルセデスAMG史上最もパワフルな市販車であり、F1用の1.6L V6ターボエンジンの改良型と4基の電気モーターが組み合わされたハイブリッドシステムにより最高出力1063psを発生させる。価格も220万ポンド(約4億円)からと豪快だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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