フォード・フォーカス・スポーツ

公開 : 2013.03.26 16:46  更新 : 2017.05.29 18:55

ホメたいところの40文字で書くと、「安全で、誰にとってもビューティフルなハンドリング。仕事が気に障らないパワートレイン。」これではとても足りないのでここに書くと、新型フォーカス最大の美点はシャシー。シャシーというか、アシがイイ。サスペンション。右ハンドルの運転環境もふくめてすごくちゃんとしたゴルフ級実用車であることがもしかしてアタリマエだとしても、たとえば山道を運転してこんなに楽しいアシのクルマであることはアタリマエでは全然ない。特筆点。もうすぐ日本へ入ってくる新型ゴルフが順当にかもっとヨカッタとしても、新型フォーカスのこのアシのよさはキラー美点ないしキラー魅力としてバッチリ通用すると思う。お好きなかたが山道をそれらしく走らせたら、それこそやめられないとまらない状態にきっとなる。タマンナイ。

カーブの手前でブレーキをかけて、ハンドルを回す。フロントのタイヤが横力を出して、クルマ全体に横滑り角がついて、さあこれからリヤの踏ん張りが……からのところが新型フォーカスは特に上手い。すごく巧み。より具体的には、車体横滑り角がついたらすぐにリヤがガッと踏ん張ってヨーイングを止める感じ……にならない。といって、初期の踏ん張りが足りなくてフラッとした動きが出るわけでもない。音もなく忍び寄ってくるようにスススーッと踏ん張りが強まって、十分にヨーイングが出たあたりで気がつくとしっかり踏ん張っている。

主にフロント2輪荷重の状態から主に外側2輪荷重の状態へいかにしてキレイにもっていくかがコーナリングの運転の難しいところで、そこをクルマがうまーくやってくれちゃう。FF車のコーナリングでリヤ(のタイヤの横力)を容易にしっかり使える(出せる)タイプ、といってもいいでしょう。とりあえずハンドルはいっぱい回して、「これでなんとか無事に曲がってくれよ」みたいなミジメなことにならないタイプ。

あと、その前からもふくめてずっと、クルマの動きの出かたや姿勢の変わりかたが柔らかい。“パキッ”とか“カクッ”とかがない。人間でいうと、たとえばヒザの使いかたが上手系。パッと見ですぐそうだとわかる上級者が余裕モードで滑っているスキーやスケートのスラローム、みたいな感じでワインディングロードを走っていける。曲がっていける。で、楽しい。非常に。俺が楽しいといっているだけでは安心できない人たちのために書き添えておくと、「松田(秀士)さんは“めっちゃくちゃ楽しかった”っていってましたよ」(フォード・ジャパンのタナカさん談)。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

フォード フォーカスの人気画像